ご同輩諸氏の皆々様。
子供の頃 推理、探偵小説の本を 読まなかった方はおられないだろう。 パイプをくゆらせたホームズが登場すれば 霧深いロンドンの町を想像し 山高帽に片眼鏡と来れば ルパンと共に華やかなパリが浮かんできたものだった。 そして、日本の名探偵といえば これは明智小五郎に止めをさす。 日本推理小説の草分け 江戸川乱歩氏が作り上げた名探偵と 怪人二十面相との闘いに 血湧き肉躍らせた日が懐かしい。 我等が子供の頃のヒーロー 明智小五郎が 11月の国立劇場 歌舞伎の舞台に颯爽と立つ。 時は時空を越えた江戸末期 明智小五郎は隠密廻り同心として 十手を持って登場する。 相手は二十面相に代わって 豹の目、爪、舌を持って 美女の血を吸う 人呼んで人間豹。 配役は松本幸四郎の明智小五郎に対し 殺人鬼・人間豹に市川染五郎 注目の親子対決である。 演題が「江戸宵闇妖鉤爪」(えどのやみあやしのかぎつめ)、 まさに江戸川乱歩十八番のおどろおどろした 妖しげな雰囲気が詰まった舞台である。 幸四郎は流石に親の貫禄 あくまでも重厚に名探偵を演じている。 歌舞伎の舞台に限れば その安定感は 今や、弟の吉右衛門を圧倒している。 一方の染五郎はといえば、 若い頃の線の細さは影を潜め 悪の限りを尽くす 非道なる殺人鬼を 迫力満点に演じている。 舞台を縦横に使った 宙吊りに高飛び、 クライマックスの大凧宙乗り、 スペクタクルの味付けも華やか! 脚色から演出 そして配役、舞台装置、照明、音響 ものの見事に一体化された 上質の新作歌舞伎と言って良いだろう。
by shige_keura
| 2008-11-11 09:22
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