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惨劇の陰で  (運命の時)
10月12日、13時、
川崎球場にて第2戦。

審判のプレーボールの手が上がった。

同じ12日、日比谷公会堂に於いて
自民、社会、民社の3党首立会演説会が
14時から予定されていた。

このとき、NHKは
両イベントの開始時間の時間差を考慮し
日本シリーズの中継を決定した。

一方の3党首演説会、
浅沼委員長の登壇は
14時45分と決められていた。

誠に不思議なもので
淡々とゼロを重ねる
シリーズ第2戦が
浅沼氏の登壇時間に合わせるように
風雲急を告げてきた。

6回、大毎の中軸、榎本の2ランが飛び出し
2-0と大洋をリードした時が
まさに14時45分だった。

その裏、大洋は
桑田のタイムリーで同点に追いつき
更に、7回の裏、併殺崩れで
1点勝ち越した。

この時、日比谷公会堂では
山口二矢が刀を持って
壇上に殺到した。
惨劇の陰で  (運命の時)_c0135543_850198.jpg

時計は15時05分を指していた。

直後、惨劇が起こった。



川崎球場からの
テレビ中継画面に
「浅沼委員長暴漢に刺さる」の
テロップが流れたのが15時20分の事だった。

そして、まさしく、このとき
大毎は権藤、島田両投手を攻め立てて
1死満塁のチャンスを迎えた。

同点、逆転の絶好のチャンスだ!

打者谷本を向かえ、
三原はエース秋山を救援に送った。

その第1球目に予想もしない事件が起こった。

谷本のファールボールが
観戦していた鈴木セリーグ会長の
右手を直撃したのだ。

満場騒然、
皆の注意は
試合から一瞬離れた。

「サインを出すならこのときだ!!」

西本監督は躊躇なく
スクイズのサインを出した。

全員が無警戒の中
捕手の土井だけが
変な雰囲気を感じ取っていた。

彼の出したサインは
ストライクからボールになるシンカー。

秋山は土井のサインどおり
絶妙のコントロールで
シンカーを低めに落とした。

ところが、この打ちにくいボールを
谷本はよくバットに当てた。

打球は前方に転がる。

土井としては
「しまった!高めに外しておけば」の
気持ちだったろう。

ボールは投手方向に向って・・・・・・

誰もがスクイズで1点と思ったとき
前に転がるはずのボールが
逆回転して捕手の前に戻ってきた。

土井の長い野球生活の中でも
初めて見る不思議な打球だった。

結果はあっという間の併殺、
大毎は一挙にチャンスを失い
そのまま2-3で試合を落とした。

               (野球好きの人は写真をよく見て欲しい
                満塁でのスクイズ、
                捕手はホームベースを踏まずに走者にタッチに行っている。
                名手、土井の冷静なる判断か?
                或いは不思議な打球が土井を動転させたのか?
                恐らく後者だろう)
惨劇の陰で  (運命の時)_c0135543_8554895.jpg

暴漢に刺された浅沼委員長の死が
日比谷病院で確認されたのが15時45分。

この時間が運命のスクイズの前か後かは知らない。

ともかく、こうして、騒然とした1日は終わったのだが
話はこれでは終わらない。

続きは明日の最終回で、
by shige_keura | 2009-05-09 22:37 | スポーツ
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