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回復の処方箋 -2-
今回の経済危機は
耳にタコが出来るほど
”百年に一度”と言われている。

それでは、本当にそうなのだろうか?

本当か?嘘か?の検証を前に
一体どういう意味で
”百年に一度”を使っているのだろう”

経済に対する影響度合いを意味するならば
具体的に前回は何時起こったのか?

そのときとの比較を
具体的に示して欲しいものだ。

更に、影響は日本にとってなのか?
アメリカを含む世界にとってなのか?

何も説明なしに
呪文のように言っているだけならば
言わない方がましとも言える。

加えて首相は
「日本は全治十年」とも言ったようだが
何を根拠に言っているのだろう?

このような根も葉もないコメントは
やたら人心の不安を増大させるだけのもので
国のリーダーとしてやってはならぬ事だと思う。

さて、先ず始めに世界全体に対する影響度合いを
今回の経済危機と
過去の大恐慌(アメリカ発1929年)を比べてみよう。

危機の起こった原因、
それは両者、まるで異なっている。

1929年の大恐慌は
典型的な需給バランスが崩れた事によって
引き起こされたものである。

先ずは自動車、電機等
当時の成長産業の需給が崩れ
農業にも波及していった。

一方、今回の危機、
その元を辿れば
アメリカの7,000-8,000億ドルもの
巨額な経常収支の赤字にあった。

そのために海外の黒字国から
資本がアメリカに流入した結果
過剰に陥りサプライム問題に繫がっていった。

従って、同じアメリカ発とは言っても
危機の起こった原因が全く異なっている。




次に影響の度合いと
各国への波及のスピードだ。

この点でも両者は全く違う。

例えて言うならば
1929年は遠くで起こった大地震が原因の大津波が
徐々に各国へ波及したものだ。

一方、今回の危機は
あたかも直下型地震のごとく
瞬く間に世界を呑み込んだ。

数字を挙げてみるならば、

1929年、大恐慌の場合は
各国への波及に3年間を要し
回復の兆しまで
更に4年間を必要とした。

当時、アメリカでは失業率が25%に達し
GDPは4年間で半減し
貿易は75パーセント破壊された。

それに比べると
今回の危機のマグにテュードは
そこまでの破壊力を持っていない。

更に、両者間での大きな違い、
それが保護主義台頭の有無にある。

1929年の場合は
危機勃発後、保護主義が著しく台頭し
大国は自分の身だけを守ろうと必死となった。

従って”国際協調”の掛け声すら起こらなかった。

今回はいち早く主要国が集まり
事態の認識、対策の必要性等々につき
考え方の共有を見ることが出来た。

中でも、少なくとも
保護主義は取るべきではないとの
一致を見たことだけでも大収穫だ。

以上の観点から
世界的に見れば今回の危機は
1929年に比べると
大きいとは言えないのである。

それでは、日本はどうなのだ?

”よしよし、これなら大丈夫だ”と
自信を持って言えるのかどうか?

ここが、悩ましい所なのだが
続きは明日へ、
by shige_keura | 2009-04-15 09:52 | その他
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