琥珀色をした液体、
涼やかに舞い上がるバブル、 その向こうには 高原の緑が広がっている。 8月19日、山中湖畔の昼下がりだ。 温度計は23度、 暑くもなく寒くもなし、 空気はカラッと乾いている。 木の葉を揺らす夏の風に身を任せ まろやかでスッキリとした ハイボールが喉を滑り落ちていく。 まさに至福の一時だ! 時折、香ばしい醤油の匂いが 鼻腔をくすぐる。 脇のバべキュー炉では 朝採りトウモロコシと アスパラガスが焼きあがりつつある。 その後は 東京より持参した 挽肉とナスのたっぷり入ったカレーを 炉でジックリと温める趣向である。 まだまだ陽は高い、 焦ることは無い。 さて、至福の一時を構成する主役の飲み物 どういう謂れで”ハイボール”と言うのだろうか? 欧州、アメリカで諸説ある中で 私が最も気に入っているのが ”アメリカ横断鉄道”に因んだお話だ。 広大なアメリカを 西から東へ、東から西へ 多くの人々を乗せた横断鉄道は アメリカの発展に多大な貢献をもたらせた。 当時、この鉄道で ”Go”と”Stop”のサインとして 長い棒の上にボールが着いている器具が用いられていた。 この棒が上がっていれば 即ちハイボールならば進め、 ボールが下にあれば止まれの合図だったのだ。 横断鉄道の汽車 当然の事ながら 旅の途中には 何回かの給水停止が必要だった。 そして、この停車中に 乗客に振舞われてのが ウイスキーソーダだったのである。 汽車も人間も 水の補給で一息ついたのである。 スッキリとしたウイスキーソーダで 生き返った人々を乗せて 給水を終えた機関車は出発する。 ”ハイボール”の合図と共に!! 汽車の中には 様々な人たちが乗り合わせていたことだろう。 辺境の地に配属された騎兵隊、 西部で一旗揚げようとするギャンブラー、 各地を点々とする酒場女、 無味乾燥の景観に驚く東部の貴婦人等等々・・・ 一杯のハイボールに喉を潤わせ 人々の長い旅はまだまだ続いていくのだ。 ふと見れば 我が手元のハイボールが空になっている。 風の音を聞きながら もう一杯頂こう。
by shige_keura
| 2009-09-03 16:07
| 食
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