”飛天”、日本では天女と言ったほうが
馴染みぶかいだろう。 三保の松原の天女伝説を初めとする 空を優雅に舞う乙女達である。 この天女、”飛天”の姿を 敦煌、北京のいたるところで 見かけることが出来た。 莫高窟の入り口、 窟内の壁画は言うに及ばず 敦煌市内の街路灯は 飛天の行列で彩られている。 ホテルの備え付けの品 タオル、シャンプー等 はては洗濯袋までにも 飛天が描かれている。 その優雅な姿は まことに魅力的であるが 彼女達は一体どこから来たのだろうか? 仏教で言うところの飛天は 諸仏の周囲を飛行、遊泳し 礼賛する天人のこととなるそうだ。 天人であるので女性とは限らない。 実際、敦煌の窟内で 男の飛天も見たが どうもしっくりとこない。 やはり、飛天は優雅な女性が相応しい。 さて、飛天の起源であるが インドと言われている一方で オリエントの有翼天人像が シルクロード経由で 中国に伝わったともされている。 古代ペルシャのゾロアスター教遺跡で 空中から飛来する精霊を見ることが出来る。 これが西洋と東洋に伝播されたとされるのだ。 具体的にギリシャのニケ、 或いはイタリアでは レオナルド・ダ・ヴィンチ描く所の「受胎告知」を初め 多くの彫刻、絵画に見られることが出来る。 (ルーブルにあるサモトラケのニケ) (「受胎告知」、レオナルド・ダ・ヴィンチ) さて、東洋の飛天だが 多くは羽衣をまとった女性であり ガンダーラ美術の中でその姿が多く見られる。 ただ、飛天の特徴は 西洋の天女(天使)と違って 翼を持たないところである。 何故に飛天が翼を持たないのか? ヒョットすると飛天はシルクロード経由ではなく インドで生れた独自の文化なのだろうか? それは今のところ謎である。 翼を持って空駆ける天使 羽衣をまとって空を舞う飛天。 私には飛天のほうが より魅力的で女性の艶めかしさを感じる。
by shige_keura
| 2009-10-26 09:25
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