金沢の南東に広がるのが野田山、
そこは前田家の墓地である。 その麓、鬱蒼とした杉木立に囲まれ どっしりと構えているのが 名刹、大乗寺である。 金沢で暮らしている頃は それこそ、春夏秋冬 機会あれば訪れていた場所だ。 春の桜吹雪、夏の蝉時雨、 秋の紅葉の時期も素晴らしい。 しかしながら、 大乗寺には厳しい冬の寒さが もっとも相応しく感じられる。 大乗寺の凛としたたたずまい、 それは観光化、俗化を 拒絶しているかのように見える。 それには次のような背景がある。 曹洞宗の寺として開山したのが1283年。 その後、江戸時代に入り この場所で僧侶の修行規則(清規)が再構築され ”規矩大乗”の名のもとに いわば曹洞宗僧侶の行動規範として統一された。 大乗寺は華美、虚飾とは無縁の寺、 しかし、一方では 境内は綺麗に掃き清められ 本堂、回廊にはチリひとつ落ちていない。 今でも20名を越す僧侶が 朝4時から午後9時まで 座禅、托鉢等の 厳しい修行に明け暮れている。 鉛色の空から 氷雨が間断なく降り注ぐ、 大乗寺見学には 最も適した時だったのではないだろうか。
by shige_keura
| 2009-12-27 16:26
| 旅
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