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砂の流れは時の流れ
昨今のテレビ番組は
およそ下らぬ内容が多いが
正月番組はまさにその極み!!

そこで毎年、
この機会に昔の映画を
DVD等で楽しむ事にしている。

今回の映画は
ある場面の中のセリフが
極めて印象的な作品である。

その名画とは
1971年イタリアの巨匠
ルキノ・ヴィスコンティによる
「ベニスに死す」だ。
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実は、若い頃には
このセリフは全く気にも留めなかったが
年を経て再び見たときに
重みを持って胸に迫るものとなった。
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ルキノ・ヴィスコンティは
フェデリコ・フェリーニと並んで
イタリアを代表する監督だ。
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二人の作風から
庶民派のフェリーニ
貴族派のヴィスコンティーと謳われている。

ヴィスコンティの貴族趣味が
如何なく発揮されたのが
この「ベニスに死す」である。

原作はトーマス・マンによる同名小説だが
ヴィスコンティは原作の主人公、
小説家を作曲家へと変えている。

これでバックに流れるマーラーの音楽が
絶大な効果を上げることとなった。

映画の底流に流れているテーマは
若さ、美しさへの羨望、
自らの老醜に対する幻滅と失望
そして、失われた時間を取り戻せぬことへの
絶望と苛立ちである。

映画のあらましはこうだ。

心臓に問題を抱える老作曲家(アシェンバッハ)が
創作に行き詰まり
気分転換を兼ねて
避暑地、ベニスのリド島に来た時から
物語は始まる。

チェックインしたホテル、
そこで彼の目は釘付けとなる。
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その視線の方向には
一人の美少年(タージオ)がツンと澄ましていた。
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この少年を演じたのが
ビヨルン・アンデルセン、
映画史上屈指の
艶めかしい若衆色気を
発散させていた。
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見つめる老作曲家の想いとは裏腹に
ニコリともしないタージオ。

遂にアシェンバッハは
艶のない白髪交じりの髪を黒々と染め
白粉と薄い紅を施した
醜悪極まりのないいでたちで
浜辺のデッキチェアに座る。

その視線の先には
勿論タージオがしなやかに
波打ち際で躍っている。

見られていることを分りながらも
見てみないふりをするタージオ、
そこでアシェンバッハの心臓に異変が起こり
デッキチェアに崩れ落ちて行く。
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ベニスの夏の陽は燦燦と注ぎ
やがては髪の染料が
頬に黒く流れ落ち
真っ白な背広に
無残な染みをつけていく。

なんとも衝撃的な場面だった。

さて、問題のセリフは
映画の冒頭で
砂時計を眺める
アシェンバッハの口から漏れる。

砂時計からは淡々と砂が流れ落ちていく。

彼は言う、

「最初のうちは砂は殆ど減っていかないようだ。
 しかし、ふと気がついた時には
 いつのまにか砂が無くなっている。
 そして、その砂を取り戻すことは出来ない」

これは、勿論、
アシェンバッハ自身の人生を顧みてのこと、
そして今の自分への悔恨を表している。
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砂時計を観察した人は
誰でも同じ思いを抱かれたことだろう。

最初遅遅としてはかどらぬ砂の動きが
ある時から堰を切ったように
落ちるスピードを増していく。

そして、最後は
残酷なまでにあっけなく砂は落ち去り
あとは無に帰すだけである。

これは、まさしく
我々が感じる人生の時の流れのようだ。

即ち、少年時代には
途方もなく長いと思われた一年が
最近ではそれこそアット言う間に過ぎ去ってしまう。

その速さは今では
空恐ろしさを感じるほどだ。

ここで重大なことがある。

それは砂時計の場合、
残っている砂の量は一目瞭然だ。

しかしながら
人生の残された時は
少なくなってきてはいるが
どれだけ残っているかは
誰にも分らない。

だからこそ、
今の内に出来ることは
なんでもやるべきなのだ。

今年も、色々なことにチャレンジしてみよう。
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by shige_keura | 2010-01-06 10:46 | | Comments(0)
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