昨年12月に公開され
特に女性層から大きな支持を得ている 「ジュリー&ジュリア」を観た。 劇場に行った理由は 世評が良い事と並んで ご贔屓、メリル・ストリープ主演に因るものだった。 彼女は私にとって 演技力であくなき魅力を発散する 真の女優として位置づけられている。 彼女を初めて知ったのが 「クレーマー・クレーマー」、 1979年製作、時にストリープ30歳、 3作目でアカデミーを獲得した作品である。 この作品で ダスティン・ホフマン演ずる 離婚相手の夫と 親権を争う主婦として登場した彼女は 揺れ動く女の内面を 見事なまでに表現した。 その後、アカデミーノミネート15回の実績は ストリープがまさしく オールマイティの女優である事を物語っている。 ストリープ程安定感のある女優は 現代映画界のなかで 他に見当たらない。 彼女の今回の役どころは 実在したアメリカ人主婦のジュリー。 ジュリーはパリ滞在中 料理教室で専門家と共に奮闘し のちにアメリカ一般家庭に 本やテレビを通じて フランス料理を持ち込んだ人として名高い。 本作品はコメディ仕立て、 包丁を片手に悪戦苦闘する 彼女の姿がユーモラスに描かれる。 ストリープにとっては 単純極まりのない主役像なのだろう。 実に、”おちゃのこさいさい” 「こんなものでしょう」と言わんばかりの タレントぶりが如何なく発揮されている。 ただ、見方によっては 彼女も60歳、 演技過剰に因る嫌味も 若干見え隠れしているようだ。 一方、この映画で 新鮮な魅力を感じたのは ジュリアに扮したエイミー・アダムスである。 ジュリアはジュリーの 524ものレシピを 365日でやり遂げると宣言し その模様を自己のブログで綴っていく。 エイミー・アダムスは 神学校内のスキャンダルを描いた「ダウト」で 同じメリル・ストリープと共演している。 そのときは、さしたる印象を持たなかったのだが 今回、女優としての成長に目を見張った。 個性的でもないし とびきりの美人でもない しかし目的に向って突き進む 女性のキラメキを終始発散させている。 今回に限っては ご贔屓ストリープよりも 目に焼きついたのが エイミー・アダムスだった。 彼女は今30歳、 奇しくもストリープが 「クレーマークレーマー」に出演した時と 同年齢である。 エイミーの今後の活躍に期待したい。 映画には、このように 思っても見ない掘り出し物があるのが堪らない。 「ジュリー&ジュリア」 肩の凝らぬ心地よい名品だ。 特に、ワインと料理が好きな方 是非ともご覧下さい。 映画を観たあと 必ずやビストロで ワイングラスを傾けたくなりますぞ!
by shige_keura
| 2010-01-29 10:02
| 食
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