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真のライバル 8  (巌流島の戦い)
「我いつの日か
 中原に覇を唱えん」

1951年西鉄ライオンズの監督に就任した三原が
キャンプ初日に言った言葉だ。

「俺を都から追い落とした巨人よ、
 今に見ておれ!!」

打倒巨人を胸に秘め
戦力を整えた三原は
その5年後の1956年
宿敵巨人と日本シリーズで激突した。
真のライバル 8  (巌流島の戦い)_c0135543_1491536.jpg

ここからは、私のリアルタイムの中にあり
当時のことは殆ど良く覚えている。

このシリーズ、4勝2敗で西鉄の勝利となるが
印象的だったのは三原の巧みな撹乱戦術だった。

シリーズ前の下馬評は
圧倒的に巨人有利であったが
これは主にファン、評論家等の
固定観念、”常勝巨人”に拠るものだっただろう。

それを巧みに利用したのが
知将、三原だった。

戦前の彼のコメントは
常に巨人の胸を借りると言った
へりくだったものだった。

しかし、三原は両軍戦力を良く吟味し
彼ならではのシナリオを練り上げていた。

そして、迎えた第1戦
その年僅か2勝の川崎を先発させ度肝を抜いた。

将棋で言えば”奇手”
或いは一般的には”悪手”と見えた
とんでもない作戦だった。

何で川崎なんだ??
巨人打線につかまるぞ!

案の定川崎は立ち上がりから巨人につかまり
1回でノックアウトされる。

それを表面上は渋い顔で見ていた三原だが
内心、これで筋書き通りとほくそ笑んだ。

三原としては、勿論、川崎が好投すればそれで良し、
打ち込まれたとしても
それは織り込み済みのことだった。

何故ならば2回以降
稲尾を始め島原、西村等の主力投手を
舞台経験と通用度合いを試す為
次々とマウンドに送ることが出来たのだから。

結果は0-4で西鉄の敗戦なのだが
3回以降稲尾と島原が巨人を完封した。

これで新人稲尾を軸と定めた三原は
4勝2敗で日本一を勝ち取ったのだ。

中でも計算どおり
稲尾が3勝をもぎ取ってくれたことが大きかった。

               (殊勲の稲尾をねぎらう三原監督)
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               (ライオンズの中軸、怪童中西と野武士豊田)
真のライバル 8  (巌流島の戦い)_c0135543_23292851.jpg





しかし、このシリーズ、
圧倒的に巨人有利と言われるほど
両軍の間に戦力の開きがあったのだろうか?

ペナントレースの数字からは両軍戦力相拮抗、
投手力はむしろ西鉄の方が
優れた成績を残していた。

両チーム戦力比較(1956年ペナントレース)

打撃

             巨人                           西鉄
        打率      本塁打   打点           打率    本塁打 打点
与那嶺  0.338(1位)   13     47   豊田  0.325(1位) 12  70
川上    0.327(2位)    5     67   中西  0.324(2位) 29  95
藤尾    0.276(5位)   14     58
宮本    0.263(8位)   19     69

巨人は打撃ベストテンに4名送り込んではいるが
西鉄の中西、豊田の破壊力は凄まじい。

投手
          勝  負   防御率                勝   負    防御率
堀内      14  4   1.46(2位)      稲尾    21   6   1.06(1位)
別所      27  15  1.93(8位)      島原    25  11   1.35(2位)
                               西村    21   7   1.71(4位)

投手力は質量共に西鉄が優っている。

               (西鉄が誇る投手陣
                右より河村、島原、西村、稲尾)
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巨人の場合、エースの別所が
ペナントレースで燃え尽きた年で
日本シリーズは乱打を浴び
0勝3敗と大きく期待を裏切ったことが
巨人敗戦の直接原因となった。
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三原にとっては会心のシナリオ!

巨人としては初戦楽勝、
「なんだ、西鉄は所詮田舎チーム」、
相手を見くびってしまった。

ところが、気がついてみれば
戦力の気を引き締める時間が無いまま
ズルズルと敗戦に追い込まれていった。

水原にとっては
こと野球に限っては
俺の方が数段上との自負心が
木っ端微塵に打ち砕かれ
そのショックは余りにも大きかった。

そして、巌流島の戦いは第2幕へと移っていく。

明日に続く
by shige_keura | 2010-04-14 09:00 | スポーツ
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