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真のライバル  10 (洒落者の戦術)
畳の日本間にある堀炬燵、
厚い丹前に身を包み
一人黙然とミカンの皮をむいている、
何を考えているのか???・・・・・・、
これが三原に相応しい姿だと思う。

一方の水原は全く違う。

洋風の瀟洒な自宅の居間、
センスの良いカシミアのカーデガン、
立ち上る紫煙は当時貴重な舶来の煙草、
時折バカラのロックグラスを口に運ぶ。

               (当時、自由ヶ丘にあった水原邸
                居間には大きな鏡張りの洒落た衣装ダンスが)
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袖口からキラッと時計が光る、
勿論、それはロレックスだ。

               (壁にさりげなく掛けられているボルサリーノのソフト帽)
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_22435552.jpg

ハイカラ好み、一流品にしか目を向けない、
それがピタッと決まるのが水原、
日本野球界史上最高の伊達男に間違いはない。

恐らく本人もそれを自認していただろうが
不思議なことに嫌味にならない、
スマートボーイ、水原だ。

野球界を引退し70歳を越されている頃、
東横線の車中で水原さんをお見受けした。

冬だったと思う。

空席は幾つかあったが立っておられた。

網棚に携帯のゴルフバッグが置かれていたのは
近所の練習場にでも行く途中なのだろう。
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_22472794.jpg

コートと着て、ソフトをかぶり
背筋をピンと張って
車窓からの景色を追っていた。

その姿はホレボレするほどの美しさだった。
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野球の先進国はアメリカ
ならば学ぼうじゃないか。

当時、水原ほど積極的に
アメリカの戦術を取り入れた監督は居ない。

ドジャーズのベロービーチでのキャンプ後、
帰国した水原の3塁コーチャーズボックスの姿、
観客は勿論野球関係者も目を剥いた。

見たことも無い所作である。

これが今では高校野球も取り入れている
ブロックサインの日本初お目見えだった。
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_22512880.jpg

しかし、今もって水原以上
華麗にブロックサインを送る監督は居ない。

アメリカからツープラトンシステムを学び
実践に取り入れたのも水原だ。
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_22523581.jpg

ツープラトンシステムとは
相手投手の右、左によって
二通りの攻撃オーダーを組む作戦だ。

ここに水原は攻撃型監督の特徴が見出せる。
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波に乗ったときの破壊力は無敵!
相手は参った!
早々に白旗を掲げるしかない。

               (当時の巨人幹部、左より千葉、水原、川上、中尾
                水原と川上のユニフォームの着こなしの違いに注目!)
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_23422765.jpg

しかし、ひとたび受けに回った時
意外な脆さをさらけ出すことがある。
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_22534015.jpg

油断がある。ポカがある。

その意味では戦国武将の織田信長、
将棋界ならば升田幸三九段に似ているのではないか。

この3人に相通ずる面。

それは自分を傑物と自認していること、
それによる自信が過信、油断に繫がる危険性をはらんでいること。

自分の判断に揺ぎ無い自信を持ち
好き嫌いをはっきりと出す為
誤解を呼び敵を作ってしまうこと。

無類の負けず嫌い、
あくなき勝利への執念を持ちながら
ひとたび勝敗利ならずの時は
負けを負けとして潔く受け入れること。

対する三原は徳川家康、
昭和の大名人、大山康晴を思わせる。

監督としての実力、器量、
それは三原の方が上であるかもしれない。

しかしながら人間としての魅力度、
私は水原の方に軍配を上げる。
真のライバル  10 (洒落者の戦術)_c0135543_22545524.jpg

それでは三原とはどのような男だったのか?

ここがなんとも悩ましい所だが
明日に続けたい。
by shige_keura | 2010-04-16 08:54 | スポーツ
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