一昨日紹介した、雲の上団五郎一座、
抱腹絶倒のお笑い、”源冶店”を書いていて ふと昔を思い出した。 頃は小学校の頃 友人たちと良く口ずさんでいたのが 当時爆発的にヒットした 春日八郎の”お富さん”だった。 節回しのよさもさることながら 何だか意味の分らぬ言葉を使うことで 一丁前の大人になったような気がした。 しかし、今もってこの歌詞を見返すと 渡世の世界に生きた男と女の因縁が これほど活き活きと描かれていることに驚く。 勿論、御存知歌舞伎の 「与話情浮名横櫛」の名科白、 ”しがねえ恋の情けが仇 命の綱の切れたのを・・・・・・”を お手本にしているとは言え。 ちょっと長くなるが 1番から4番まで紹介しよう。 粋な黒塀 見越しの松に 仇な姿の洗い髪 死んだはずだよお富さん 生きていたとは お釈迦様でも 知らぬ仏のお富さん エーサオー 源冶店(げんやだな) 生きた昔を恨むじゃないが 風もしみるよ傷の跡 久しぶりだなお富さん 今じゃ異名(よいな)も切られの与三よ これで一分じゃお富さん エーサオー すまされめえ かけちゃいけない 他人の花に 情けかけたが身の定め 愚痴はよそうぜお富さん せめて今夜は さしつさされつ 飲んで明かそよお富さん エーサオー 茶わん酒 逢えば懐かし語るも夢さ 誰が弾くやら明烏 ついて来る気かお富さん 命短く渡る渡世は 尚もつらいぜお富さん エーサーオー 地獄雨 メロディーと共に口ずさむと まさに絶妙の歌詞であることがわかる。 しかし、この歌詞 大人でも判りにくい箇所があるのだから 小学校の餓鬼には分るわけがない。 子供にとっては 訳がわからぬ言葉に 大人の世界を見出したことを感じ 気分がよくなって歌っていたのだろう。 歌詞の中で、最も謎めいているのが”源冶店”、 これは何を意味しているのか? 源冶店は実際の地名”玄冶店”(げんやだな)に由来する。 玄冶店の所在地は 日本橋人形町の3丁目に実在した土地の名である。 江戸時代、幕府の医官、岡本玄冶の 拝領屋敷があったので その跡地を”玄冶店”と呼ぶようになった。 ところが歌舞伎の世界では実名は使えぬので 源氏の町、鎌倉の雪ノ下に所を移し 最初は”源氏店”と名乗ったのが あるときから”源冶店”と変わっていった。 お芝居の題名、 「与話情浮名横櫛」、 与三郎とひっかけているのは明らかだが なかなか粋な名前をつけたものだ。 そんなところで今夜は冷や酒か!! エーサオーーー 茶わん酒、でも持ってこいってんだ!! 「ご新造さんへ、おかみさんへーー いやさ、お富ーーーーーー ひさしぶりだなーーーー」
by shige_keura
| 2010-05-21 09:39
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