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波乱の6月 (モビーディック)
今回はかなり赤裸々な描写となる。

日本の映倫ならば相当にカットするかも知れぬ。

前立腺の生体検査とは
前立腺の様々な部分の組織を取り出し
癌細胞が存在しているかどうかのチェックである。

時間は半日はおろか1時間どころか
30分で済んでしまう。

しかし、その内容がハードなため
検査後の安静、休息のため
2泊3日の日数が与えられている。

ではどのようにハードかと言うと
尻の穴から管を通し
前立腺に針を打ち込んで組織を採取する内容だ。

24日昼前入院、
昼食後、3時から検査と決まった。

看護士さんに聞いた。

「検査は麻酔をするのですか?」

「いえ、麻酔じゃなく痛み止めの
 ボルタレンを塗りこむだけです」

私の心は萎えてしまった。

ボルタレン!!???

腰が痛む時よく塗りこむやつだ。
そんなもので大丈夫なのかね?

「はーーー、それじゃかなり痛いでしょーー」

看護士さんは申し訳無さそうな顔をした。

「ええそのようですよ・・・・・・、
 ただ人によりけりですね。
 とても耐え難いと言う人もあれば
 それほどでも無かったという人もいますよ・・・」

頭の中には尻に針を打ち込まれて
七転八倒する自分の姿が浮かんだ。

「いやーだなーー、これは」





検査室に入ると二人の女性の看護士さんがいた。

検査手順の説明だ。

ここで、私は男の告白をした。

「男ってのはね、偉そうな顔してるけど
 からきしだらしなくて、意気地なしで
 痛さには耐えられなくて
 全く駄目なんだよなーー」

お二人は即座に大きく頷いた。

さー、検査が始まる。

テレビ番組、”タイムショック”に出てくる
トルネードスピンを思わせる椅子に座らされる。

パンツは病院の売店で買った
後ろにスリットの入ったやつだ。

椅子が後ろに倒れ掛かると共に
お尻が当たっている部分の板が外れる。

いよいよである。

いきなり異物が我が体内に侵入してきた。

「ウへッ、これはなんだ!!!」

激痛ほどの痛みは無いが、
しかし、なんとも形容しがたく嫌な感覚だ。

ほどなく医師の声が聞こえてくる。

「いいですか、そろそろ針を打ち込みますよ
 打ち込む時、衝撃がありますから
 できるだけ動かないようにね。

 あっ、そうそう、色々な場所に打ち込みますから
 全部で12発ですよ。

 12回我慢してください」

何だと一度で12発だって!!

ゴルフで12発もいっぺんにOBしたことないぞ。
”ギブアップ”ってのは無いのかね?

"バスン!”、
身構えていたとはいえ、
やにわに訪れた、
針の衝撃波だ。

看護士さんの声がする。

「あと11回です」

「バーヤロメ、そんなの分かってらい」

バスーン、バスン!!
威勢良く針が打ち込まれる。

「オイオイ、俺はモビーディックじゃないんだ、
 エイハブ船長、もっとお手柔らかに頼むぜ」

都合12回の銛が打ち込まれ
さすがに消耗した。

これで終わりかと思うとそうではなかった。

「最後にガーゼで血を拭き取りますからね、
 2回ばかり」

何!!!血を拭き取るってことは
また突っ込まれるのか!!!

「ふーーーっ、やっと終わったぜ」

人の良さそうな医師は聞いた。

「どうですか大丈夫ですか?」

これに私はなんと答えたか?

「思っていたほどの苦痛はなかったですよ。
 きっと貴方がお上手だったのでしょう」

この期に及んでのリップサービス!
なんと私はお調子者なのだろう。

医者の顔がほころんだ。

「お上手ってことはないでしょうが
 思ったほど痛くなかったと聞くと嬉しいですね」

”思ったほど痛くなかった”
これは私の本音である。

しかし、相当に辛い検査である事は
翌朝、鏡に映る自身の顔が物語っていた。

特に眼が酷い、
横に並ぶ筈の両眼が垂れ下がっているようだった。

帰りは安全を期し車椅子に乗せられた。

病室に戻るとき、胸に去来したものは、
「戦いはこれからだ!」であった。

これで直ったわけじゃない、
辛いがこれが現実なのだ。

以下明日に続く
by shige_keura | 2010-07-07 09:34 | その他
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