映画ファンの男なら
誰もが隠れイチオシご贔屓女優の札を持っている。 そのご贔屓は、一般的に余り人気が無い・・・・、 と、本人は思っている。 だから、その女優を贔屓にしているのは 極端に言うと自分ぐらいだ・・・・・・、 と、本人は思っている。 実際はそんな筈はない。 男って奴はいかに”ノー天気”で ”ロマンチスト”であるかということだ。 それは随分前、5,6年前の事 中学時代からの大親友と映画の話しになったときの事だ。 「女優で誰が一番魅力的だと思う?」 この私の問いに対しての彼の答えで仰天した。 「キム・ノヴァクもいいネーー!! だけどね、実はねイタリアのね、 ×××××・×××・×××なんだよ」 「ガーーン!!!」 なんと、彼女は私のとっておきの隠しカードだったのだ。 彼女こそは美人ぞろいのイタリア女優の中でも とびっきりの美形、その瞳は妖しげな魅力に溢れ 官能派女優というカテゴリーがあるならば ダントツの首位に立つ女性である。 しかしながら、何故に彼女が隠れイチオシなのか? それは、彼女の主演した映画のラブシーンが 当時の高校生にとって刺激が強すぎた為である。 だから、彼女がご贔屓と広言するには ちょいと面映い思いがしてしまうのだ。 時を1947年にプレー・バックしてみよう。 この年、彼女はミスイタリアの美人コンテストに出場したが 惜しくも3位入賞を逃し4位となった。 その時の3位が,のちにイタリアを代表する女優となった ジーナ・ロロブリジータだった。 (真中がルチア・ボーゼ、右から二人目がロロブリジータ、 右端がロッシ・ドラゴ) 因みに1位となったのはルチア・ボーゼ、 同じく女優となったが大成はしなかった。 そろそろ、隠れ1位を明らかにしよう。 エレオノラ・ロッシ・ドラゴ、 イタリアをというか世界を代表する 知る人ぞ知るの官能派美人女優である。 日本でも彼女の人気は実は根強い。 1990年、文芸春秋が行った 「我が青春のアイドル、女優、ベスト150」アンケートにおいて 彼女は第60位にランクされている。 グレース・ケリーが69位、 アン・マーグレット、72位、 ソフィア・ローレンに至っては73位だから ロッシ・ドラゴの隠れファンの多さが分るというものである。 彼女の名前を一躍広めたのが、 1959年製作のイタリア映画、「激しい季節」だった。 オリジナルタイトルは”Estate Violenta", 直訳すると、「激しい夏」 1943年、イタリアのファシスト政権が崩壊し敗戦間近、 人心の不安と諦めが国中に蔓延していたときのことだ。 場所はイタリア、アドリア海沿岸の避暑地であるリッチョーネ、 夏休みで帰省した良家のボンボン、カルロ(「男と女」のジャン・ルイ・トランティ二アン)は ガールフレンドのロサーナ(ジャクリーヌ・ササール)との再会を喜ぶ。 ところが、ある日、戦争未亡人で子連れのロベルタ(ロッシ・ドラゴ)と 海辺でであったことで 二人の間に許されぬ恋の炎が燃え上がっていく。 この作品の見所は 当時としては破格のラブシーンでもあるが ロッシ・ドラゴの眼の演技の凄さにある。 特に、物憂い”テンプテーション”の音楽に合わせ ダンスをする時の彼女の表情、 そこには共演のジャクリーヌ・ササールを歯牙にもかけぬ 人生の経験を積み重ねた女性の色香が漂っている。 (当時人気のササールもかたなし) 本作品で、彼女はイタリア・アカデミー女優賞を獲得する。 映画本来の出来はさほどでもないが 一人の女優の色気ががこれほど 作品の魅力度を上げたことは驚きだ。 そんなロッシ・ドラゴも3年前 82歳の生涯を終えた。 彼女の魅力が最も花開き、燃え盛った時、 それが「激しい季節」なのである。
by shige_keura
| 2010-12-02 09:55
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