アラ探し、と言っても
人の粗探し、欠点を見つけることではない。 美味しいお魚ちゃんのお話、 と言っても、魚の粗(アラ)、 即ち魚を下した後の頭とか骨の部分ではない。 今日のアラはれっきとした魚の種類のことだ。 アラは特に関東では余り知られていないが 非常に味が良く通好みの高級魚だ。 アラについては勘違いをしている人が多い。 「クエはアラとも言うが、アラはクエとは言わない」 魚に詳しい人なら分かるだろう。 クエは垢穢、或いは九絵とも書き 深海魚のハタ科に属する魚で これまた美味、高級魚である。 クエは九州玄界灘が有名な漁場、 この魚の名前が良く出てくるのは今、 即ち、大相撲、九州場所のときだ。 人気力士を抱える部屋は 毎日のように高級”クエちゃんこ”を楽しめるが 貧乏部屋はブロイラーの”鶏ちゃんこ”で我慢する他は無い。 この魚を、九州でアラと呼ぶことで混乱が生じている。 一方、アラは魚篇に”荒”と書き 北陸沿岸が漁場として名高い。 首都圏では千葉外房の大原で 時々大きなアラが釣れるという。 そして、このアラは決してクエとは呼ばない。 初めてアラの存在を知ったのは 1990年代後半の金沢勤務時、 後に親しくなった「千取寿司」のご主人からだった。 元来、鯛、平目等の白身魚に執着が無かった私だが アラだけは例外中の例外のお気に入りの白身魚となった。 「これがアラですよ」 目の前に置かれた薄いピンク色のアラを 口に入れて驚いた。 今までの白身魚の頼りない味と違い 上品な中にしっかりとした味を含んでいた。 「美味しいでしょう」 満足げな顔をしたご主人はこう続けた。 「九州で言うアラはクエなんです。 こちらのアラと向うのクエは同じハタ科ですが クエは姿形からハタの一族と分りますが アラは”オキスズキ”と呼ばれるように スズキによく似てるんですよ。 ですから、アラのほうがクエより上品な味なんです」 (眞ハタ) (スズキ) 以来、千取寿司にお邪魔するたびに アラの刺身と鮨をつまむのが無上の楽しみとなった。 金沢から東京に帰って以来 淋しさの一つがアラと縁遠くなったことだ。 ところが5年ほど前、 逗子に住む従弟が自らアラを釣り 鍋で楽しむ事を知った。 あのアラを鍋で!!!! そりゃ旨いだろうが勿体無い食べ方だ。 あの千取の親父さんも呆れたような顔をして言った。 「そりゃ勿体無いですよ、 アラを鍋で????へーーーー」 さてさて、アラ釣り、アラ探しも忘れる頃 朗報は突然やってきた。 以下、明日に続く
by shige_keura
| 2010-11-15 08:43
| 食
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