人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
よこはま たそがれ  -3-
公園内の一角に佇む小さな像、
海を見ている後姿は何故か寂しげである。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_18595648.jpg

この像は、「きみちゃん」の像、
つまり、この横浜から海を超えて外国に行ってしまった
有名な童謡、「赤い靴」の主人公なのである。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1912468.jpg

「赤い靴」のきみちゃんの像は
日本に、この横浜以外に6箇所も存在している。

東京の麻布十番、静岡の日本平、
北海道では小樽等3箇所、
そして青森県の鯵ヶ沢である。

何故、7箇所にもあるのだろうか?

それだけ、「赤い靴が」日本人に
愛されている童謡なのだろうか?

数あるきみちゃん像ではあるが、
歌詞に登場する言葉、
「横浜の埠頭(ハトバ)から」にあるように
ここ横浜が本家本元と言って良い筈だ。

この歌詞は作詞者野口雨情が
知り合いに聞いた実話を元にしているそうだ。

即ち、岩崎かねの娘、きみという名の私生児が
経済的困窮の為、日本では育てられぬことから
外国の宣教師に連れられていったことに因んでいる。





しかし、なんとも寂しく哀しい詞であろうか。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1922165.jpg

「赤い靴はいていた女の子
 異人さんに連れられて行ちゃった
 横浜の埠頭(ハトバ)から船に乗って
 異人さんに連れられて行ちゃった
 今では青い目になっちゃって
 異人さんのお国にいるんだろう
 赤い靴みるたびに考える
 異人さんに逢う度に考える」

私は小さい頃から
この歌が大嫌いだった。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1925041.jpg

何故なら、この歌を聞くたびに
不気味な恐怖感にとらわれたためである。

これは、まるで怖い怖い人さらいの歌だ。

事実はちょっと違うのだろうが
北朝鮮のお国を思わせる歌だ。

今回ちょっと驚いたことがある。

むかしから、童謡には寂しい歌が多いと思っていたが
その多くが野口雨情によって作られているということだ。

例えば、「赤い靴」の反対が「青い眼の人形」だ

「青い目をしたお人形は アメリカ生れのセルロイド
 日本の港に着いたとき 一杯涙を浮かべてた
 私は言葉が分らない 迷子になったら何としよう
 優しい日本の嬢ちゃんよ
 仲良く遊んでやっとくれ、仲良く遊んでやっとくれ」

雨情の寂しく哀しい歌はまだまだ続く。

全ての歌詞は紹介できないが、

「雨降りお月さん」の一節は

「雨降りお月さん雲の陰
 お嫁に行くときゃ誰と行く
 一人で唐傘さして行く、
 唐傘ないときゃ誰と行く・・・・・」

童謡にしては難解な歌で、
何を言いたいのか良く分らないが
決して明るい気分とはならない。

「十五夜お月さん」を見てみれば

「十五夜お月さん
 妹は田舎に貰われていきました
 ・・・・・・・・・・
 母さんにもう一度わたしは逢いたいよ・・・・」

なんとも哀しみに満ち溢れた言葉のオンパレードだ。

意味不明の童謡を更にもう一つ、

「あの町この町」の一節だ。

「あの町この町日が暮れる、日が暮れる
 いま来たこの道帰りゃんせ、帰りゃんせ、

 お家がだんだん遠くなる、遠くなる
 いま来たこの道帰りゃんせ、帰りゃんせ」

日が暮れたから家に帰る歌のはずなのだが
家がだんだん遠くなるとはどういうことだ??

どうにも不可思議で空恐ろしい歌に思えてくる。

これは野口雨情固有の特徴なのか?
あるいは当時の日本に共通していた
哀しい現実なのだろうか。

赤い靴を履いたきみちゃんは
今でもひっそと海を見つめている。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1903911.jpg

頭上の轟音で我に帰った。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1952244.jpg

ジェット機の編隊飛行が
晩秋の空に飛行機雲をなびかせ
ニューグランドホテルの影に消えていった。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1955334.jpg

我に返ったと同時に
轟音が吾が腹を刺激したのか空腹を覚えた。

中華街は眼と鼻の先だが
何処に行こうか????

”山東”の水餃子は一人じゃ手に負えぬ・・・・・
さー、どこが良いか?考えもまとまらぬまま
中華街の煌びやかな門が目に入ってきた。
よこはま たそがれ  -3-_c0135543_1982953.jpg

by shige_keura | 2010-11-29 08:49 |
<< 我が青春の女神たち -隠れイチ... よこはま たそがれ  -2- >>



2007年9月末にこちらに引っ越してきました。
→過去のブログを見る


ホームページ 



LINK 


LINK FREE

このブログの写真・テキストの無断使用はお断りします。

(c) 2007 shige_keura. All rights reserved.