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師走の”とおさんば”
”とおせんぼ”ではなく”とおさんば”
正確には”通さん場”である。

芝居小屋の暮れと正月は
いつも以上に活気を呈する。

暮は年忘れ興行、正月は新春興行と言う具合に。

そして、12月の歌舞伎といえば
それは「仮名手本忠臣蔵」となる。
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「菅原伝授手習鑑」、「義経千本桜」と並ぶ
人形浄瑠璃の三大傑作が
元禄の世の赤尾浪士の仇討ちを手本としていることは
日本人であれば誰でもが知ってる。

徳川の世、芝居に実名を使うことは許されず
赤穂四十七士をイロハ47文字にかけて「仮名手本」、
更には主人公の忠臣と大石内蔵助の蔵から
「忠臣蔵」を考え出して出来た題名が
「仮名手本忠臣蔵」なのである。

このお芝居は通しで全十一段からなる大作なのだが
それを1日で見ることは先ず不可能だ。

何故なら、今、国立劇場で行われている
三、四、道行、七、十一段目ですら
5時間を超える大芝居となるのだから。





実はこの私、このお芝居を見るのは初めて!
いそいそと劇場に向ったのは言うまでもない。

呼び物は、松本幸四郎の意欲的な二役、
演ずるは義士の主役、大星由良之助と
憎憎しい敵役の高師直にあった。
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幸四郎にとって由良之助は当たり役
安定感溢れた演技で存在感を示した。

しかしながら、驚いたのは
初役にもかかわらず高師直を上手に演じたことだ。

殿中で塩冶判官をねちねちといたぶる場面は圧巻だ。

さて、この芝居開始に当って
場内放送が流れた。

「お客様に申し上げます。
 このお芝居の四段目が始まりますと
 45分間は場内への出入りが出来ませんので
 予めご承知おきください」

初めて聞くアナウンスに首をかしげた。

「何か、特別な仕掛けでもあるのかな?」

ところがそうではなく
伝統的しきたりに則っているだけだったのだ。

昔から、お芝居小屋の桟敷席などは
上演中にでもお酒やお弁当の差し入れが行われ、
又、お客も勝手に出入りを許されていた。

但し、唯一の例外が「仮名手本忠臣蔵」の四段目なのだ。

それはこの場の内容が
塩冶判官切腹の場面であるからだ。
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殿中で抜刀の咎を受け、即日沙汰を受けた
塩冶判官が由良之助の到着を待ちわびながら
切腹し果てる場面である。

小刀を腹に突きたてた判官、まさにその時
由良之助が到着し殿の元に走り寄る。

「待ちかねたぞ、由良之助ーー!」

薄れ行く意識の中で
血糊のついた小刀を形見に渡す判官、
主従の目と目が合う、
仇討ちを固く決意する由良之助である。

このあと、本物の香を焚いた中で
妻の顔世御前、由良之助の焼香が執り行われる。

即ち、芝居はピーンと張り詰めた
厳粛な雰囲気におおわれて進行していく。

だから、四段目に限っては誰にも邪魔出来ない!
なんびとたりとも通さん!!!通さんの場、
「通さん場」となったわけである。

頃は元禄十五年・・・・・・・・・

ふりしきる雪の中
山鹿流の陣太鼓が闇夜に響き渡る、
いよいよ仇討本懐、大詰めである。

師走馴染みの古典芸能に浸るのも悪くない。
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by shige_keura | 2010-12-10 10:10 | | Comments(0)
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