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言葉の重み
”人々に語りかける言葉、演説”
それは、責任あるポストについている人のものほど
大きな影響力、重みをもって聴衆に迫る。

だから、政治の世界、実業の世界を問わず
リーダーは自分の置かれている立場を十分認識すると共に
己の発する言葉の影響力をわきまえることは当然のことなのだ。

リーダー、それが一国の象徴的人物、
例えば国王であれば演説の持つ重要性は桁外れに大きい。

今年度、アカデミー作品、監督、主演男優、脚本、
主要4部門を獲得した「英国王のスピーチ」は
史実に基づきながらも、
内容のユニークさも相まって
我々の心に沁みる秀作と言ってよいだろう。

映画の筋を紹介しても仕方がないが、
生まれつき酷い吃音(きつおん)に悩む
英国王、ジョージ5世の第二子(ヨーク公)が、
はからずも自分の意思に反し
国王の後継者として大英帝国を背負う立場となった。

皇太子時代から彼の吃音は鳴り響き、
過去の演説では惨めな失敗を繰り返し、
医学療法を試みても良くならない。

そんな彼が国王として重要な演説を行わねばならない。

時はまさにヒトラー率いるナチスが
ポーランドへ侵攻し風雲急を告げている。

ジョージ6世(前ヨーク公)は国王として又、国として
ナチス打倒を掲げ、困難を強いる戦争突入の存念を明らかにし
国民を鼓舞、勇気づけねばならない。

この真に難しい演説を
吃音に悩む国王が出来るのだろうか?

もしも、演説に失敗したら、
国民はリーダーに失望し戦う気力も失うだろう。

演説開始の赤ランプが点滅する。

隣の部屋ではチェンバレン首相、チャーチル次期首相、
妻のエリザベス妃、二人の娘、エリザベス、マーガレットが
固唾を呑んで父の夫の国王の声を待つ。

さー、どうなる!!





映画の出来の素晴らしさにも感動を覚えたが、
より大きな驚きは開かれた英国王室である。

主人公、ジョージ6世は
現在のエリザベス女王の父親である。

現在尚、国を統治している女王の父、
ジョージ6世の肉体的ハンデキャップが
如何に克服されていくかが映画の焦点だ。

吃音を克服する為
彼は皇族とはとても思えぬ
汚い言葉を次々と連呼する。

更には物語の伏線として
兄、エドワード8世の世紀のスキャンダルも
隠すことなく語られていく。

このテーマは今の日本の皇室を顧みると
我が国では実現不可能と思える映画である。

どちらの皇室が良い、悪いは別にして
皇室、そして国民性にいまだに
大きなギャップがあることに改めて愕然とした。

クライマックスの英国王のスピーチ、
その結果は十分予想されたとは言え
大きな感動を持って胸に迫った。

日本の特に政治のリーダーの方々、
是非、この映画を見ていただきたい。

そして、国民の胸に染み入るような演説を
行って欲しいものなのだが・・・・・・

「無理だろうなーーー」

補足:主人公の母、メアリー王太妃に、
   懐かしや、クレア・ブルームが登場するのも喜びだった。
   
言葉の重み_c0135543_18504297.jpg

   彼女は今や80歳、チャップリンに見出され
   名作、「ライムライト」に出演したのは59年前のことだった。
by shige_keura | 2011-03-02 22:19 |
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