「ミスターアメリカ死す!」
これは1979年、ジョン・ウェインが肺がんのため 72歳でこの世を去った時の新聞の見出しである。 「強さの象徴」、「力の誇示」、これが彼のキャッチ・フレーズ、 それは、とりもなおさずアメリカそのものだった。 ウェインの画像を検索すると 顕著に彼の姿が浮かび上がる。 数ある彼の紹介画像」、 そのほとんどが無敵の西部のヒーロー、 そして頼りがいのある軍人姿である。 彼は長い映画人生で合計154本の作品に出演しているが 西部劇が79本と半数以上占める。 更に「史上最大の作戦」をはじめとする戦争、軍隊もの、 それ以外でのジャンルで思い浮かぶのは 「静かなる男」ぐらいである。 「静かなる男」はジョン・フォードが 緑滴る故郷アイルランドを舞台に 心ゆくまで彼の思い入れを描いた 微笑ましいヒューマンドラマである。 この作品でデュークは アメリカから故郷に帰った朴訥なアイルランド男を演じ 相手役、モーリン・オハラと絶妙な夫婦を演じ 彼の新たな一面を見せてくれた。 デュークのベストスリーは この「静かなる男」と 「駅馬車」、「黄色いリボン」となる。 一方、「アメリカの良心」の象徴、 誠実で温かなパーソナリティで ファンを魅了したのがゲイリー・クーパーだ。 この分け方が妥当かどうか? 若干疑問には感ずるが ”剛”のデュークに対し”柔”のクープになるのだろう。 如実に二人の違いが表れるのがネット画像、 クープの画像は西部男と並んで 親しまれる男として数々の女優とのツーショットが多い。 「モロッコ」では大姉御マレーネ・デートリッヒと、 最後は酒場の彼女が彼を追って砂漠へ走り去っていく。 「誰がために鐘は鳴る」ではイングリッド・バーグマンと、 ”鼻が高くて接吻しにくいわ”は有名なせりふ。 「打撃王」ではルー・ゲーリックに扮し 病に冒された夫を支えるテレサ・ライトと共演。 「摩天楼」は一徹な設計家に扮しパトリシア・二ールと、 このとき、クープは生涯でただ一度 離婚の危機にさらされ、ゴシップだねとなった。 「昼下がりの情事」、世界的プレーボーイに扮し ふたまわりも年の違う、オードリー・ヘップバーンと パリを舞台に恋を語らう。 そのほか、「平原児」、「オペラハット」のジーン・アーサー、 「真昼の決闘」のグレース・ケリー、 「悪の花園」ではスーザン・ヘイワード、 そして遺作、「六年目の疑惑」ではデボラ・カー、 並みいる大女優を相手にしたクープ、 彼は稀有のオールラウンドプレーヤーだった。 ここで、クープの演技について これ以上信頼できる人はいないと思われる人の論評を紹介しよう。 その人の名前は故リー・ストラスバーグ。 今でも俳優養成学校として名高い ”アクターズスタジオ”の校長として マーロン・ブランド、ジェームス・ディーン、 ポール・ニューマン、数々の名優を育てた人だ。 彼は言う、「クーパーほどカメラの前で自然体の俳優を見たことがない。 余りにも自然なので時として頼りなく感じてしまう。 そこが相手俳優の誤解するところで 撮影中、多くの俳優はクーパーより芝居が上手いと思いこむ。 ところが、完成した画面を見た途端 それは彼らの間違いだったことを思い知らされる」 最後に、独断と偏見のクープベストスリー。 「真昼の決闘」と「昼下がりの情事」は当確、 三番目の候補が・・・・・・・・ 「オペラハット」、「打撃王」、「平原児」、 「友情ある説得」、「ベラクルス」・・・うーん、難しい ともあれ、二人はハリウッドが 最もハリウッドらしい輝きを放っていた時、 その頂点に君臨した大スターだった。
by shige_keura
| 2011-04-01 07:45
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