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二人の天才好き嫌い  -1-
毎年、春も深まってくると
スイスの或る場所を思いだす。
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そこは、スイス南部のフランス語圏、
冬は雪深き小さな寒村なのだが、
漸く雪も溶けはじめ緑に覆われる頃、
再び山々が真っ白に覆われる。

土地の人々が「5月の雪」と名付けている
群生した野生の水仙が一挙に花開くのだ。
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野生の水仙が見下ろす先がレマン湖、
そのほとりにブベイの名の瀟洒な町がある。

世界的な食品企業であるネスレの本社所在地だ。

綺麗に刈り込まれた緑の芝生に沿って
湖に向かって歩いて行くと
ひとつの小さな銅像が目に入ってくる。
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山高帽を頭に乗せ
フロックコートにステッキ、
映画ファンにとってはお馴染みのいでたち、
チャールズ・チャップリンその人である。

湖を見つめる眼差しは何故か寂しげ、
かつて名声をほしいままにした
アメリカ、ハリウッドの日々に想いを馳せているのか?
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しかし、このような片田舎の地に
どうしてチャップリンの銅像が建っているのだろうか?






チャップリンは1952年、44歳の時から
彼が世を去る1977年まで
アメリカを離れこのブベイの地に25年間生活していたのだ。

正確に記すと、「アメリカを離れた」のでなくて
「アメリカに戻れなくなった」のである。

チャップリンの映画のスタイルは
ふたつのカテゴリーに分類できる。

ひとつが主に初期の作品、
「キッド」、「街の灯」に見られる”人間愛路線”である。
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もう一方が、いわゆる”イデオロギー”路線、
「モダンタイムス」の機械文明批判、
「独裁者」における政治批判である。
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そのイデオロギー路線が最高潮に達したのが「殺人狂時代、」
劇中の有名なメッセージがこれだ!
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「一人殺すのは殺人者で百万人殺すのは英雄なのか??!」

時、あたかもアメリカでは”赤狩り旋風”が吹き荒れる中
チャップリンは容共主義者としてのレッテルを貼られてしまう。

彼は次作、「ライムライト」で人間愛路線に方向転換したが
時すでに遅く、同映画のイギリスプレミアの為
ロンドンを訪れたチャップリンは国外追放の処分を受け
アメリカには戻れぬ身となったのだ。

アメリカにもどれなくなったチャップリンは
英国にて、「ニューヨークの王様」(1957)、
「伯爵夫人」(1967)を世に送った。

しかしながら、ブベイでの牧歌的生活が
チャップリンの鋭い感性を削いでしまったのか?

英国での作品にはチャップリンらしさの片鱗も窺えなかった。

とは言え、チャップリンの映画人としての偉大さは揺るがない。

監督、主演だけでなく
脚本、音楽まで手掛けてしまうチャップリン、
人々は彼を天才と呼ぶ。

チャップリンが天才ならば
同じように監督、主演、脚本を務めたジャック・タチ、
彼もまた天才と言えるだろう。

明日のブログでは
彼らの作風、そして私の好き嫌いについて紹介しよう。
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by shige_keura | 2011-04-24 21:15 | | Comments(0)
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