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春の信濃路 -安曇野は肉まんの生みの親-
我々同世代の人たちにとっての肉まんと言えば
殆どの人が中村屋のものを思い浮かべるに違いない。
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冬の寒い日、湯気の立った肉まんを
フーフー言いながら食べるときの幸せな気分、
中村屋の肉まんは高級中華料理店のものにも負けぬ
親しみやすい温かな味わいがあった。
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その気持ちは今でも変わらない。

最近は中村屋の肉まんも高級化して
”ふかひれ肉ま”んのような邪道製品も販売しているが
そんなもは肉まんの範疇を逸脱している。

中村屋の肉まんといえば昔ながらの一品、
値段も一番安いやつが最も旨い!!

ただ、一言中村屋さんに文句を言いたいのは
この美味しい”元祖肉まん”が新宿の本店では販売されていないことだ。

中村屋の今日を育てた大切な品を
近所のスーパーにまかせっきりは無いだろう。

すこし話が横道にそれたが
中村屋の今日の隆盛を築いた人、
即ち、肉まんの生みの親は安曇野の人だったのだ。






その人の名前は相馬愛蔵、
どこを探しても中村の字は見えぬが
その訳はおいおい明かしていこう。

愛蔵は明治3年(1870)安曇野の豪農の家に生まれた。
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               (愛蔵の生家)

彼を一介のパン屋の主人と思ったら大間違いで
大変な高邁な思想の持ち主で
社会事業家として名前を知られていた。

彼は旧制松本中学を3年で中退し
東京専門学校(早稲田の前身)に学び
キリスト教に感化され信者の洗礼を受けた。

この過程で内村鑑三の教えを受け
キリスト教に基づく私塾、「研成義塾」を設立した。

その後、仙台藩士の娘、星良(ほし・りょう、後のペンネーム黒光)と結婚し
安曇野で新婚生活を送る。
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               (晩年の愛蔵、良夫婦)

しかしながら、良が養蚕の影響で身体を壊し、
治療の為に両親の反対を押し切り東京に移転する。

食べる為の道を見つけるべく
愛蔵は本郷にあったパン屋(中村)を買い取り
その名前で商売を始めた。

1904年に発売したクリームパンが大ヒット、
商売を拡充するため1907年に新宿に移り
1909年に今の場所に本社を構えるに至った。
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当時の新宿、角筈は田舎も田舎
とても商売が成り立つ環境ではなかった。

にもかかわらず、この地を拠点としたことに
愛蔵の先を見る目の確かさが窺われる。

彼は商売で得た利益を
日本の文化・芸術に貢献するために
中村屋サロンを開き若手芸術家のスポンサーとなった。
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               (碌山三回忌に集まったサロンの面々)

そのサロンには荻原碌山、戸張狐雁、高村光太郎等
日本を代表する彫刻家をはじめとする多くの芸術家が集った。

さて、中村屋の肉まんが世間に登場したのは1927年、
愛蔵が「天下一、支那まんじゅう」の名前で販売し
たちまちのうちにヒット商品となっていった。

尚、同年に中村屋のステータスを決定づけた
インド・カレーがメニューに載ることとなった。

インドとは縁もゆかりもない中村屋が
どうやってインド・カレーを開発したのだろうか。

それは、愛蔵は当時一人のインド人亡命志士、ラス・ビバリー・ボーズを
某右翼大物に頼まれて匿っているうちに
彼からインドカレーの何たるかを学び商品化したものなのだ。

今回の旅行での収穫のひとつが
昔の素晴らしき日本人を知った事だった。
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たかが肉まん、されど肉まん、
愛蔵の様々な想いが詰まった肉まん。

これからは安曇野の景色でも思い出しながら味わう事としよう。
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by shige_keura | 2011-05-16 08:59 | | Comments(0)
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