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絶妙のバランス
海外生活時代、日本から取り寄せていた
雑誌のひとつが週刊朝日、
数ある記事の中で、毎回楽しみにしていたのが
東海林さだおの「あれも食いたい、これも食いたい」だった。

このコラムは今も続く人気シリーズだけに
取り上げている食材紹介が実にユニーク、
更に、取り巻く人間模様が目に浮かび
腹を抱えて笑ったことも度々だった。

今でも妙に覚えているのが
柿の種とピーナッツ、いわゆる「柿ピー」の話題だ。

「旅に出る。ドッカと席に落ち着けるや否や、
 冷えた缶ビールをプチュッと開けて窓際に置く。
 おもむろに柿ピーの袋を開け
 手のひらに数粒あけて、口に放り込む。
 ポリポリ噛みながら、グビっと一杯、
 これぞ旅の醍醐味だ」

ふむふむ、良く分かりますね!この気持ち。

緑の田園地帯、紺碧の海岸線、雪をいただいた山々、
喉に沁み渡るビールに柿ピーのお伴、
これぞ至福のひと時と言って良い。

東海林さだおさんの文章はこう続く。

「しかし、手のひらに有る柿の種とピーナッツ、
 どちらが多すぎてもいけないし
 少なすぎてもいけない。
 種4,5粒にピーナッツ1粒、
 これが柿ピーを味わう為の絶妙のバランスだ」

これも的を得た意見!
確かに柿の種4、ピーナッツ1が最適のバランスの様だ。

私は何を隠そう柿ピーのファンで
歩いて3分のスーパーで良く買ってくる。
絶妙のバランス_c0135543_18103981.jpg

銘柄は亀田製菓一辺倒、
安くて旨いぜ!庶民の味方!!。

家でポリポリ齧ってほくそ笑んでいる。

しかし、不思議なことに、家で食べる柿ピーは
ビールのお供ではなくお茶受である。

柿ピーや 家でお茶受け 外ビール   詠み人知らず





さてさて、ここは新潟駅、時は9月3,4日、
3年続きの新潟競馬放浪記である。
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遠くに紀伊半島に甚大な被害をもたらせた
台風の気配を感じさせる空模様だ。
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重馬場にならなければよいが。

しかし、今日は馬の話ではなく柿の種の話題だ。

この図柄に見覚えのある御同輩は多いことだろう。
絶妙のバランス_c0135543_1813349.jpg

新潟の老舗、浪花屋製菓、
日本の柿の種発祥のお店である。

「柿の種」の起源は1923年、
長岡市の煎餅屋、浪花家の主人が
うっかり踏みつぶしてしまった
小判型の金型を元に戻さず使用した。

出来た煎餅は歪んだ小判型、
得意先の一言、「こりゃ柿の種みてーだ」。

これが、新潟銘菓「柿の種」の誕生だ。
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では、いつ頃から「柿ピー」が現れたのか?

ひとつは、戦後、帝国ホテルのバーで
ピーナッツに和風味を混ぜようと
柿の種を混ぜたとする説がある。

従って「柿ピー」の先祖は由緒正しいのだ。

しかし、これは正確に言えば
「柿ピー」ではなく「ピー柿」なのだろう。

あくまでもピーナッツが主役なのだから。

つぎに庶民の味方亀田製菓が登場する。

当店の直売所で店番をしていたカミサンが
ふと思いついてピーナッツを混ぜて食べたのが起源としている。

その後、1966年亀田製菓が初めて市販に踏み切り
更に、1977年「フレッシュ柿の種」のネーミングで
小袋に分けて売りだした所大ヒットとなったわけである。

さて、今回、新潟土産として買った
浪花家の柿ピーを食べてみた。

「柿の種」の元祖、浪花家の方が旨いのか?
はたまた、「柿ピー」宗家、亀田製菓が優っているのか?

結論は直ぐに出た。

「柿ピー」は亀田製菓の方がずっと旨い。

何故ならば、4対1の絶妙のバランスに近いのは
浪花家ではなくて亀田製菓の方であった。

東海林さだおさんも偉いが
亀田製菓もたいしたものだ。

たかが「柿ピー」、されど「柿ピー」である。

「ポリポリ・・・ポリポリ・・・・・」
こりゃ、旨いね!!
by shige_keura | 2011-09-14 18:16 |
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