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ヒエルトの大冒険  -2-
1983年の或る冬の日、
突然僕はトラックに乗せられた。

ガタゴト、ガタゴト、半日以上、車に揺られ
不安が一杯に広がった頃、
なんだか、聞いたことがある歌が聞こえてきた。

窓を開けてみてびっくりした。

懐かしい、僕の故郷、
イタリアの景色が目の前に広がっている。

「オ―ソレ、オソレ、ミ―オ!!!!」

私の太陽、輝けるイタリア、
僕は帰ってきたんだ、ミラノの町に。
               (ミラノの象徴、ドゥオ―モ)
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ミラノの郊外、アルファロメオの村、アレーゼ
そこの一軒家が僕の新たな住まいだった。

庭は緑の芝生がびっしり、と言いたいが
雑草が生えて黄色いタンポポが風に揺れていた。

故郷の生活は実に快適だ。

あの、天敵、納豆の顔も見なくなった。

代わりに運び込まれるのは
イタリアの名物、ジェラ-ト、
芳醇な香りのアイスクリーム!

僕は甘い香りに囲まれて
幸せいっぱいの日々を過ごした。

しかし、この家の子供たちはじめ
イタリア、フランスの子供達は良く遊ぶな-!!

夏の長い一日はそれこそ、
プールを中心に遊び回っている。

子供は外で遊ぶのが一番、
結構! 結構!!

しかし、遊ぶのは子供たちばかりじゃない。

家族そろって僕を置いて
旅行を楽しんでいた。

ある時は南の島、シチリア、
ある時はローマ・・・・・・
               (シチリア、タオルミ-ナのギリシャの劇場跡)
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               (シチリア、エトナ火山噴火の溶岩)
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そうそう、これがトレビの泉で撮った写真さ。
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背中越しにコインを泉に投げ込むと
再びローマを訪れることが出来る。

単なる迷信とばかり思っていたら
あとになってビックリした。

ビックリしたと言えば、
50年とも100年ぶりとも言われた
ミラノの大雪の凄かったこと。
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或る日、家族の人が、
それこそ、震え上がる事件が起きた。

大寒波襲来の最中、
外出から帰った時の室内の凍えるような寒さ。

何と、暖房設備が寒さで壊れ、
室内の温度は、ほぼゼロさ!

さー、それから、暖炉に薪をくべて
ガンガン燃やすのだけど
温度を1度上げるのに約1時間かかる。

その晩は家族全員、ひと塊りになって
暖炉の周りで毛布にくるまっていたっけ。

こんなに寒いと、僕はもう、「要らない」って、
言われるのではないかと心配したんだ。

それは、取り越し苦労、
故郷の生活は良かったなーー!

思わず歌が口をつい出てくる。

”チャオ、チャオ、バンビーナーーー”

”ボラ―レ―、ウォ-ウォ-、
 カンタ―レ・・・・・・・”






ここの生活で面白かったのは、
娘二人が旦那の前で聞かれたくない話は
フランス語で喋っているんだよ。

旦那は何も分からずワイン飲んでるだけだったな―。

知らぬが仏、っていうのはこの事なんだ。

2年半ほど時が経ち、
娘たちがイタリア語らしき言語も喋りはじめた頃.

それは確か1985年の春先、
僕は再びトラックに載せられた。

4,5時間、車に揺られた先はジェノヴァの港。

生まれて初めて見る船の大きかったこと、
一体全体僕はどうなるのだろう。

サヨナラ、アリべデルチ、イタリア!

これで見納め、二度と故郷には戻れないだろうな、
大粒の涙が頬を伝わって流れ落ちていった。

2,3週間経って、漸く涙も枯れた頃、
今度は大粒の汗が滴り落ちた。

「何だ、何だ、この暑さは!
 僕は暑さが大の苦手なんだ」

これが噂に聞く、赤道の暑さだった。

「冗談じゃない!、もう駄目だ!
 誰か助けてくれ――!!!」

”ブオーーーーー”
霧笛の響きで漸く意識が戻った。

どうやら、船は何処かの港に着くらしい。

目にも眩いネオンサインが見え、
同時に、耳慣れぬ歌が聞こえてきた。

「街の灯が、とてもきれいね、
 ヨコハマ、ブルーライト・ヨコハマ・・・
 ・・・・・・・・・・・・・」

こうして、僕はイタリアの大先輩マルコ・ポーロでさえ
到達できなかった東洋の国、ジパング、
日本に初めて足を踏み入れたのだった。

続きは明日。
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by shige_keura | 2011-09-28 08:45 | | Comments(0)
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