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より高く、より遠く、壁を超えた男たち (不思議な長距離砲・前篇)
今回の主役は王貞治さん、
「世界のホームラン王」のタイトルに
「不思議な長距離砲」とは???
これこそ不思議に思われることだろう。
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しかし、全くの個人的見解なのだが
私にとって、王さんは他の長距離砲とは
明らかに異なっている点が見受けられるのだ。

本題に入る前に落合前中日監督の
ふたつの言葉を紹介しよう。

巨人の小笠原が2000本安打を達成した時、
「2000本ぐらいでガタガタ騒ぎなさんな。
 日本のプロ野球で絶対的記録はふたつだけ、
 ひとつは金田さんの400勝利、
 もうひとつは王さんの868本の本塁打だよ」

更に、現役時代の王さんについて、こうも語った。
「あのね、打者にとって打てる角度は90度あるのね、
 言いかえれば90度の広い角度に打ち返せるのね。
 ところが王さんは30度しか使っていない、
 特に、全盛期には15度ほどしか使ってないんだよ。
 それで、3割打っちゃうというのは信じられないね」

落合さんらしい言葉ではないか。

ところで、メジャーリーグとは
球場の広さも違うし、投手の質も違う。

だから、アメリカでは王さんを
「世界のホームラン王」とは言わない。

しかしながら、ハンク・アーロンのメジャー記録、755本を
100本以上も上回る868本塁打!!

世界に目を広げてもこの記録を抜く選手は現れないのではないだろうか。
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さて、この辺から徐々に本題に入ろう。

王さんの現役時代の話だが、
彼の腕相撲の弱さは有名だった。

何しろバレーボールで東京五輪を制した、
東洋の魔女達に敵わなかった。

男子では無く女子バレー選手である。

しまいには魔女たちに
「王さん、本気出して下さいよ」と言われたほどだ。

当時の、巨人軍の中で
王さんより腕相撲が弱かったのは
左のエース、高橋一三投手だけだった。

だから王さんは腕相撲と言うと
高橋選手を引っ張りだしたと言う。

ホームランと言うものは
腕力が強ければ打てるものではないのだ。

とは言え、腕っ節が強い方が
長距離砲としての資質が優れていることは間違いない。

王さんは自分の腕力の無さ、
バットスイングが決して特筆すべきでないこと、
つまり、ヘッドスピードが速くないことを悟っていた。

後年、王さんはこう語っていた。

「僕はね、力がそれほどあるわけじゃなくて、
 高校生のころからセンターから左に飛ぶ打球が多かったんです。
 高校の頃は相手投手のスピードが無いから
 十分に対応できたのだけど、
 プロに入ったら投手の球の速さがまるで違う。
 全然、対応できなくなったんですよ」
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プロの球は速い、打ち遅れてはいけない。

早く打とうと思うあまり、スイングの始動は早くなり、
変化球を投げられたら、全くついていけない。
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当時、中日のエースだった権藤博さんの談話だ。

「入団したての王さんは、まるでカモだったね。
 変化球投げれば空振りして尻もちをついてましたから」

そのうち、変化球ノイローゼとなっていく過程で
直球にも対応できず、フォームはバラバラになってしまった。

入団後3年間、期待外れの王さんに
阪急、米田投手とのトレード話が持ち上がった。

この話は、阪急の方が断って御破算になった。

もしも、このとき、王さんが阪急に移っていたら
868本の本塁打記録は生まれていなかったことだろう。

4年目、王さんが急に本塁打を連発したのは
世に有名な名伯楽、荒川博さんの指導のお陰だ。

王さん4年目の1962年、序盤戦、巨人は大苦戦、
或る日のコーチ会議で鬼軍曹、別所さんが噛みついた。

「大体、こんなに負けるのは投手の責任じゃない、、
 打てなさ過ぎる、特に王が酷い、
 おい、荒川どんな指導してるんだ」

江戸っ子、荒川はシュンとするどころか受けて立った。

「何ーー! 俺は王に三冠王取らせるようにしてるんだ、
 もう少し、辛抱してくれ、
 もし、辛抱出来んのならホームランぐらいは打たせてやる」
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1962年7月1日、歴史的な一本足打法の登場!

王さんのバットから本塁打量産の始まりだ。

以下、明日に続く、
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by shige_keura | 2012-01-20 11:01 | スポーツ | Comments(0)
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