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映画の中の酒  -職人の切れ味-
映画と酒は大の仲良し、
酒は映画を彩る重要な小道具と言って良い。

邦画の場合、こんな場面に良くお目にかかる。

寒風吹きすさぶ隅田河畔、
おでん屋の屋台に男が二人
ひっそりと肩を寄せ合っている。

ひとりは既に青い顔をしてクダを巻いてる。

失恋のぼやきか? 仕事上の失敗か?

相方は慰める言葉も見つからず、
「まー飲めよ、酔っちゃえよ」と言うばかり。

薄暗いガード下、鰻の寝床のカウンターバー、
御世辞にも高級とは口が腐っても言えない。

銀座から新橋、新宿、池袋、
流れ歩いた百戦錬磨のベテランママさん。

「あんた、男でしょ!
 めそめそしてんじゃないよ!!
 いいから、飲んじゃいなよ!!」

前に座る男は藤山陽子にふられた小林桂樹か?

さて、洋画に目を向けると
酒の種類も豊富なだけ、
味のある「映画の中の酒」が思い出されてくる。

数ある名場面があるなかで、
筆頭として挙げられるのが「アパートの鍵貸します」だ。
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ジョン・フォード、ヒッチコックと並ぶ
職人三羽烏、才人、ビリー・ワイルダーの傑作。

彼のベストスリーは、この作品と、
「昼下がりの情事」と「情婦」となる。

中でも「アパートの鍵貸します」は
かれの十八番、人情喜劇の真骨頂と言って良いだろう。

しかも、この映画では
カクテルの王者、ドライ・マティーニと
発泡酒の女王、シャンパンが
舌を巻くほど巧みに使われている。






主人公バド(ジャック・レモン演)は
とある、マンモス保険会社に勤めるしがない独身平社員。
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彼は己の評価を上げてもらおうと
4人の課長に自分の部屋を時間貸ししている。

課長連中は浮気の為に彼の部屋を使わせてもらい
その見返りにバドの評価に手心を加える。
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そんな或る日、今晩も時間貸しをしているバドは
家に帰るに帰れない。
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結局は酒で心を癒すしかない。

独りカウンターに座り
ドライマティーニを飲むバド。
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「何だって、俺はこんなことをしてるんだ?
 自分の家が有るのに帰れない、
 今頃、家では・・・・・、」

カウンターの上には
ドライマティーニにつきものの
オリーブを突き刺した楊枝が円を描いている。
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楊枝の数だけで、時間の経過と
バドの酔いの進み具合を表わす!
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心憎い演出だ。

フラン(シャーリー・マックレーン演)は
バドが務めるビルのエレベーター・ガール。
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バドはフランに想いを募らせ、
フランもバドに好意を寄せている。
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ところが、部長(フレッド・マクマレー)が
バドの部屋の利用者に加わり
浮気相手がフランだったことから話はこじれにこじれる。

しまいには部長の浮気がばれて
女房と離婚話が持ち上がる。

時は大晦日、年忘れのパーティの日。

何もかも愛想をつかせたバドは
会社に辞表を叩きつける。

一方、フランは部長からパーティに誘われ
本気で付き合いたいと申し込まれる。

想いも寄らぬ申し出に
必死に頭を整理するフラン。
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遂にフランはバドの気持ちと
自分の本心に気がつき席を立って
彼のアパートへと駆けてゆく。
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私が本当に好きなのはバド!
彼に会える、嬉しい!!
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ところが、アパートの階段を上がる途中で
バドの部屋から「パーン」と乾いた音!

「バドが自殺した! どうしよう!!!」
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部屋のドアを開けるフランの目の前に
シャンパンの栓を抜いたバドの顔が飛び込んできた。
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お互い、何がどうなったのか分からない???

ただ、二人の前には幸せが待っている。

それこそ年忘れ、今までの事は全て忘れ
シャンパンでグラスを合わせよう!!
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ジャック・レモンとシャーリー・マックレーン、
映画史に残る名コンビ誕生!!!
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ドライ・マティーニとシャンパンが花を添える。
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職人、ビリー・ワイルダーに乾杯!
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by shige_keura | 2012-01-31 08:59 | | Comments(0)
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