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原点回帰の勝利
1894年、映写機を開発したフランスのリュミエール兄弟は
スクリーンに動画を投影することに成功した。

シネマトグラフと名付けられた装置は
のちにシネマ(映画)となって世界に広がっていくことになった。
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リュミエールとはフランス語で、
「光」、「明かり」の意味である。

世界中の人々に「明るさ」を与えてくれた映画、
「光」を必要とする装置を考案した人がリュミエール、
これほど相応しい名前はないだろう。

時は進み1927年、
映画に一大革命がもたらされた。

スクリーンに登場する人の声が聞こえてきた!!

即ち「ト-キ-映画」の誕生だ。

世界初のトーキー映画が「ジャズシンガー」、
アメリカの人気エンターテイナー、
アル・ジョルソンが記念すべき第一声を響かせた。
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”You ain't heard nothin' yet !”

直訳すれば「聞いたことも無い!」、
「見た事も無い!!」となるのだろう。

しかし、銀幕には次の字幕が流れた。

「お楽しみはこれからだ!!」

けだし名言!! 素晴らしいセリフだ。

この言葉に導かれるかのように
映画は庶民の最大の娯楽として
つぎつぎと、そして多くの楽しさを生みだしていった。

「お楽しみはこれからだ!」

カラ-、ワイドスクリーン、音響効果の進歩はドルビーサウンズとなり、
特殊撮影は究極のコンピューター・グラフィック(CG)を生み、
3Dの作品が次々と誕生してくるようになった。

映画の技術革新は目覚ましく
留まる事を知らなかった。








映画技術革新花盛りの今、
ハリウッドは実に粋な計らいをしてくれた。

今回の第84回アカデミー賞。

作品賞、監督賞、主演男優賞を含む
5部門の栄誉に輝いたのが「アーティスト」。

本作品は白黒、スタンダード画面そして
基本的には無声映画のスタイルを踏襲している。
               (チャップリンの「モダンタイムス」)
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製作はフランス、さすが映画の本質を見抜いている国だ。
               (ジャック・タチの「ぼくの伯父さん」)
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物語はト―キ―の誕生に因って
没落していく大物男優と
躍進していく新人女優を描いている。

フランスだからこそ作り得た作品、
CG、3Dが席巻するアメリカでは誕生する筈が無かろう。

しかし、この映画をアカデミー作品賞として誉め称えた
ハリウッドの良心(敢えてこの言葉を使う)も特筆ものである。

二人の俳優が生き生きと画面で躍っている。

それは、「映画の主役は人間だよ」と語りかけているようだ。

               (私の最も好きな映画、「ニュ-シネマパラダイス」
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ハイライトのオチは、
エリア・カザンの「欲望と云う名の電車」、
ビリー・ワイルダーの「アパートの鍵貸します」を彷彿とさせる。

映画史を飾る職人の中職人に敬意を払っているかのようだ。
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CG、3Dを蹴散らした人間味あふれる映画、
「ア―ティスト」に乾杯!!!
by shige_keura | 2012-05-29 08:30 |
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