宝鐸草、「ほうちゃくそう」と云う。
日本全国に分布するユリ科の植物、 初夏に地味だが可憐な花をつける。 薄い緑色をした花は 葉っぱにまぎれて目立たない。 地味と云えば、これほど謙虚な花も無い。 しかし、あたり一面雑草の中、 健気に花を咲かせている宝鐸草。 よくぞ咲いてくれた! 愛おしさを感じてくる。 宝鐸とは寺院の軒下に 吊り下げられている風鈴のことで、 姿かたちが似ていることが花の名前の由縁である。 日本の山野に咲く草花、 その名前は寺院と関係しているものがほかにもある。 例えば、これから初夏にかけて 山中湖周辺で良く見かける擬宝珠(ぎぼうし)。 「ぎぼうし」は山間の湿地等に自生するユリ科植物、 白、紫の花をつけるが、 私は艶々とした葉の方が好きだ。 「ぎぼうし」の名前の由来は 花になる前のつぼみが 寺院の階段、手すり、欄干の柱の上に 飾られている「擬宝珠」に似ていることからつけられた。 見比べてみると確かに似ている。 以前、家内の友人から戴いて ベランダに咲いていたのが華鬘草(けまんそう)。 ピンクの小鯛を釣り上げているかのような形から 「たいつりそう」の別名を持っている花だ。 名前の由来、華鬘(けまん)とは 仏堂内を飾る荘厳具のひとつであり、 花の輪をかたどった飾りもので もともとは生花を連ねて輪に結んだものだった。 山野に人知れず咲いている草花にも おそれ多い名前が付けられている。
by shige_keura
| 2012-06-07 08:56
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