9月12日、残暑とは思えぬ酷暑の東京にサラバ、
10時半の長野新幹線の車中におさまり 11時半に目的地軽井沢に到着した。 この間、たったの1時間、 まさに隔世の感がする。 爺の幼き頃、小中学校時代 東京から軽井沢は一大旅行だった。 信越線で高崎乗り換えで軽井沢まで 開通したのが明治27年、 所要時間が6時間半だった。 我々が子供のころには相当に短縮されたが それでも4時間ほどの旅だったように覚えている。 これだけ時間を要するのも 難所の碓氷峠を越えるのが厄介だったからだ。 横川駅で峠越え用の特殊なアブト式機関車が接続、 客車を引き連れ喘ぎながら峠を登っていく。 峠の中ほど「熊の平」駅に差し掛かると 開け放った窓からの涼風が頬をなでる。 「あー、いい気持ちだな―、軽井沢はもうすぐだ」 それに比べて、僅か1時間、 便利この上もないが、 その一方で、軽井沢の有難味が薄れたようだ。 新幹線に東京で乗り込んだ時から 車中は寒いぐらいの冷房が効いている。 これでは、軽井沢近くになって 初めて感じる”歓びの涼風”は何処にもない。 便利になればなるで味気なさは募る。 「とかくこの世は難しい」 ここは、72ゴルフコース東コース 目の前に浅間山がそびえている。 その右側に見えるのは「離れ山」に違いない。 あの頃の軽井沢の夏、 朝もやの中の唐松並木道、 遠くの方から蹄の音が聞こえてくる。 背筋がぴんと張った 上品なおじさんがまたがっている。 馬も主人に負けず劣らず優雅この上も無い。 捕虫網を振り回し、「離れ山」に分け入っていく。 何時の間にか太陽は真上、 ギラギラと照りつけている。 人っこひとり居ない山の中。 背丈より高い雑草、強烈な草の匂い、 自分がどこにいるのか見失いそうな感覚に襲われた。 立ち止まるとシーンとした静寂の中、 ジ―ジ―と虫の音が浮かび上がってくる。 急に恐怖感が募ってきた。 後ろも見ずに家に向かって一目散、 やにわに、横の茂みからキジが飛び立つ!!! 「ひゃー!、驚かせるなよ」 あれから半世紀以上もの時がたつ。 思い出の中の軽井沢と今の軽井沢、 時の経過はズッシリと迫ってくる。
by shige_keura
| 2012-10-05 08:29
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