1970年代の半ばのある日、
12チャンネルに実に面白い番組があるのを知った。 タイトルは、「世界の料理ショー」、 言わば料理バラエティ番組の草分けと言って良い。 主演はイギリス生まれの料理研究家、グラハム・カー。 彼はロンドンに生まれ、 幼くして両親の経営するホテルで働き 著名なシェフに囲まれて育ち 料理に興味を持つようになった。 1969年、ニュージーランドを経てカナダへ移住、 妻・トリ―ナのプロデュースする料理番組に出演、 カナダ、CBS系で世界に放映され瞬く間に有名となった。 日本では「世界の料理ショー」で放映、 オリジナル・タイトルは"The Galloping Gourmet”、 ワイン片手に口八丁手八丁のグラハムが実に愉快だった。 料理なんて適当に作って、 楽しく味わえばいいんだぜ。 能書きなんてやめろやめろ、 食べて旨けりゃいいのさ、 難しい事言うなって。 そんな言葉が聞こえてくるようだった。 決して、「いい仕事してる」とか 「ジューシーで芳醇な味わい」のような 馬鹿なひとつ覚えは言わなかった。 最後に出来あがった料理を 会場の観客の中から一人指名して味見させた。 そのときも、カメラは食べる観客の顔を映すだけ、 特にコメント、感想等を言わせなかった。 何故なら、料理を口に入れたその人の顔が 料理の出来と味を物語っていたからだ。 さてさて、秋も深まった11月、 台所に緑のブドウがひと房置かれていた。 「葡萄の季節」も終盤に差し掛かった頃、 グラハム・カー直伝の「葡萄と鶏肉の壺焼き」が 久しぶりに、食卓を賑わすのではないか! 我が家は夫婦ともども絶対の肉食派、 魚は2日続けば鱗が出てきそうで飽き飽き、 一方、肉ならば1週間続いても全く苦にならぬ。 そのなかで、我が家のクッキング・ベストスリーを上げると、 北京ダック、タンシチュー、そして葡萄と鶏肉の壺焼きだ。 料理の重要な要素がボリューム・・・・・・・・ ボリュームというと誤解されるかもしれぬので 「食べ応え」と言った方が良い。 その「食べ応え」感が実に素晴らしいのが 上に挙げた三つの料理である。 今日は当然ながらワインの出番、 最近のお気に入り、Napa Valleyの赤を開ける。 ベーコン、鶏肉を炒めているのだろう、 厨房から良い香りが漂ってくる。 オーブンでこんがりと焼き色がついた パイ皮包みの出来上がりまで小1時間ほどか? 生唾がこみ上げてくる時間帯に入ってきた。 ワインよーし、グラスよーし、 チーズよーし!ナイフ・フォークよ-し!!、 これで完璧!!! あとはグラハム流、料理を楽しむだけである。 食べている人物の顔を出す訳にはいかないが、 赤ワインが益々旨く感じる料理とだけ言っておこう。 「食欲の秋」、今やたけなわだ。
by shige_keura
| 2012-11-02 08:44
| 食
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