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赤いりんごに・・・  -野菊の君の里-
信濃路をあとにする前に食したいもの、
それは無論のこと蕎麦である。

「信州、信濃の蕎麦よりも
 わたしゃ、あなたのそばが良い」、

こんな都々逸が有るがごとく
信州と言えば蕎麦の里だ。
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立ち寄った街道沿いの蕎麦屋、
蕎麦の味がどうこうよりも
映画ファンの爺にとっては素晴らしい発見があった。

蕎麦屋の駐車場の一角に
なにやら、古びた看板を見いだした。

「野菊の如き君なりき」は、ここで撮影されました。
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私の小学校、中学校時代の頃
日本映画の二大巨匠と言えば
男っぽいタッチの黒澤明に対して
女性的で繊細な木下恵介だった。

私は断然、黒澤派ではあったが、
木下恵介の作品で好きだったのは
「二十四の瞳」と「野菊の如き君なりき」だった。

原作は伊藤左千夫の小説、「野菊の墓」。

但し、木下監督は、
舞台を原作の千葉から風光明美な信州に移すことで
主人公、二人の少年、少女が抱く清純無垢な心根を
痛々しいほど透明に描き上げた。
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モノクロ画面から感じられる信州の空の青さ、雲の白さ、
回想場面は古い肖像写真からヒントを得たという
画面の周囲を白くぼかしたアイデア、
木下恵介の持つ繊細なテクニックが際立った作品だ。
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更に監督は大胆な冒険を試みた。

主人公の少年、少女に新人を起用し
セリフはわざと棒読みで喋らせた。
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この試みが見事に図に当たり
少年と「野菊の君」の間に通う
淡くも切ない恋心を謳いあげていった。
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そして、極めつきが
「野菊の君」、民子を演じた有田紀子である。

当時、彼女は学習院中等科に通う15歳の少女、
そんなお嬢さんが直接、木下恵介に手紙を出した。

何としても映画に出演してみたい。

彼女の純な心が監督の心を動かし
本作品で一躍人気スターの座に駆け上る。

ところが、彼女は5作品に出演しただけで
25歳にして(1965年)、結婚を機に映画界から引退した。

しかし、ファンは「野菊の君」を決して忘れていない。

それは、1990年、文芸春秋が行ったアンケート、
「日本の女優150人」の中に
有田紀子は第9位にランクされていることに表れている。
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有田紀子は「野菊の如き君なりき」の為に
生まれてきたかのような女優なのである。
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目の前には映画と同じ、
秋深まりつつも、たおやかな信州の野山が広がっている。
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by shige_keura | 2012-11-29 08:25 | | Comments(0)
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