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「アンタッチャブル」の温もり
「お前、アンタッチャブルって映画見たか??」

「何が、見たか?だ。誰に聞いてると思ってるんだ。
 1987年のハリウッド映画、
 ケビン・コスナ-がちょっと青臭いエリオット・ネス、
 カポネ役が貫録十分のロバート・デニ-ロ、
 それに、何て言ったってショーン・コネリーが良かったな--・・・」
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「違う、違う、そのアンタッチャブルじゃない」

「違う? なら、テレビかー。
 ロバート・スタックがはまり役で、
 銃撃戦が当時じゃ凄い迫力だったよな」
「アンタッチャブル」の温もり_c0135543_18264093.jpg

「テレビなんて言ってない。
 最初から映画って言ってるだろう」

「なんだそれ?? リメイクされたのか?」

「1987年の奴は、”The Untouchables”
 俺が話しているのは”Untouchable”、
 日本のタイトルはアンタッチャブルじゃなくて
 ”最強のふたり”だ」






昔の「アンタッチャブル」はアメリカ禁酒法下、
実在したFBIの捜査官、エリオット・ネスと
裏で町を操るアル・カポネとの闘いを描いたものだ。
「アンタッチャブル」の温もり_c0135543_18271698.jpg

一方、「最強のふたり」も実話に基づくとは言え、
ギャングも出なければ銃撃戦とも無縁の映画だ。

パリに豪邸を構え美術の収集が趣味のフィリップは
ハング・グライダーの事故で首から下が麻痺し、
日常の行動は介護なしには過ごせない。

更に、悪い事は続くもので
3年後には敗血症で妻を失い、
まさに生きる望みが断たれた状況に追い込まれる。

大富豪の介護、バス・トイレ付の個室が与えられ、
お手当も十分すぎるほどのものがある。

自薦他薦の応募者が後を絶たないが
2週間ともたず首になる。

そんなときに、スラム街に住む粗野な黒人、ドリスが
失業手当に必要な不採用証明書を貰いに訪ねてくる。

ところが、フィリップは或る理由で彼を使うことにした。

これから先は、書かない方が良いと思うが
次のことだけは言っておこう。

フィリップがドリスを雇うことになったのは
ドリスが何ら同情のかけらも見せぬ事だった。

2011年製作国、フランスで興行収入第1位、
日本でも都内各所をはじめ全国でロングラン、
専門家、ファンから賛辞の数々が寄せられている。

「予測不可能な展開」、「フランス映画ならでは」、
「まさにエスプリの国の映画」等々。

心温まる素晴らしい映画であることには間違いなく、
今年見た映画の中でのベストスリーは固い。

しかし、この映画から、
特に際立ったフランスの匂いは感じなかったし、
むしろ、ハリウッド王道の雰囲気を醸し出していた。

すなわち筋の展開もひねったものではなく
観客は「こうなれば最高だな」と思っていれば良い。

しかし、予想通りの展開とは言え
終了後、観客の多くは胸を打たれるだろう。

主人公の二人は秀逸!
「アンタッチャブル」の温もり_c0135543_1827433.jpg

大富豪のフィリップにはフランソワ・クリュゼ、
度々見せる頬笑みはダスティン・ホフマンを思わせる。

介護役、ドリスに扮するのは黒人のオマール・シ―、
バスケットの超人、マイケル・ジョ-ダンを思い出させる雰囲気、
類稀なる運動神経とリズム感を披露してくれる。

実在の二人は白人と白人のようである。

一方を黒人としたことで劇的効果は上がったに違いないが、
そのことがハリウッド映画の香りを醸し出したのかもしれない。

既に、ハリウッドがリメイクに乗り出しているというが
実在と同じく白人2人を起用してはどうだろうか?

もしかすると、アメリカ製「最強のふたり」から
フランスの香りを感じることになるかもしれない。
               (モデルとなった実在の二人)
「アンタッチャブル」の温もり_c0135543_1655799.jpg

いずれにせよ、年の瀬に、ほのぼのとした気分に浸りたい方、
是非とも「最強のふたり」をご覧になることをお勧めする。
by shige_keura | 2012-12-04 16:15 |
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