代官山の街並に関する情報誌に
必ずと言って良いほど紹介されているのが レストラン・ASOの入り口に位置するカフェ・ミケランジェロだ。 代官山と言えば旧山手通りの佇まいであり その代表選手がASO、まさに代官山の顔なのだ。 ASOは今やレストラン・ひらまつグループの傘下だが、 ASO自体いくつもの店舗を抱えている。 代官山のほかにアルジェント・ASO・銀座、 ASOチェレステ・二子玉川、 ASOチェレステ・日本橋という具合に。 期間を限定した特別企画が"Festa di ASO”、 各店舗のシェフが考案した料理でフルコースを形成する、 言わば各シェフ渾身の料理フェスティバルである。 当初は期間限定の特別企画と理解していたが 期間外でも賞味可能との情報に 食いしんぼう夫婦がいそいそと向かったのが 12月初旬のあるお昼のことだった。 ここは、大井町線二子玉川駅前の高島屋・玉川店、 1969年設立の日本初の郊外型デパートである。 このデパートの誕生が二子玉川の顔を 田舎から洒落た郊外都市へと劇的に変貌させた。 今も、年間1,600万人の訪問客を誇り、 この不景気な世の中と言うのに 右肩上がりの集客を実現している。 今や、店内はクリスマス一色、 華やかな雰囲気に彩られた最上11階、 日本料理の「たん熊」と並び たった2店でフロアを占めているのが ASO・チェレステ・二子玉川店である。 曇り空の中、眼下に最後の紅葉、 彼方に新宿の高層ビルが霞んでいる。 絶景かな! 絶景かな!! 最初の前菜は「いろいろな貝の軽いスモークとキノコのサラダ」 ASO・チェレステ・日本橋店、料理長の作品。 ホタテ貝、つぶ貝、ムール貝が 軽くスモークされたことで生々しさが消え、 香り高いポルチニ茸と舞茸が溶け合い スッキリとしたパセリ・バジル・ケッパー・アンチョビのソースが 味を引き締めている。 これはいいぞ! 2品目がパスタ、「鴨胸肉とゴボウのタリオリ-二」、 ASOグループ総括料理長の作品。 炭火焼の鴨とゴボウと根セロリの食感がユニーク、 そこに豊かな味わいのソースがパスタに絡まり絶品の旨さ! 魚料理は「鰈のパートブリック包み・ジェノべ―ゼ風」 アルジェントASO・銀座の料理長の担当。 パリっとした食感は悪く無く美味しいが 基本的にフランス料理の魚には興味が薄く、 漸く晴れてきた景色に見とれる。 「なんだ、なんだ! 東京タワーにスカイツリーじゃないか!!」 景色に見とれている隙を突かれ 家内から鰈の一片が吾が皿に移されていた。 彼女も圧倒的な肉食派、 まったくもって油断がならない。 最後の肉料理、蝦夷鹿のローストが期待通り。 ASO・代官山料理長の作品は 妙に凝らずに蝦夷鹿をシンプルにロースト エシャレット、赤ワイン、リンゴ酢のソースが引き立て役。 この料理、何が絶品かと言うと、 野生の鹿を思わせる噛み応えと 家畜とは一線を画したようなすっきりとした肉の味わいにあった。 即ち、酒やマッサージで手を掛け霜降りに育て上げた 和牛の技巧的な柔らかさと脂っこさとは対極をなすものだ。 デザートが代官山ASOの女性パティシエの作、 イタリア北部の伝統菓子(ストゥル-デル)、 薄く焼いた生地でリンゴを巻き、 バニラアイスクリームを添えた一品。 温かで芳醇なリンゴのお菓子と 冷たいバニラアイスクリームが溶けあって 何ともはや、至福の昼食の大団円を迎えた。 ほろ苦いコーヒーで、ゆとりの一時を過ごし、 おまけのチョコレートはそっとティッシュ-に包んだ。 フロアの反対側からは眼下の多摩川と 何時の間にか遥か向こうの丹沢の山並みが望まれた。
by shige_keura
| 2012-12-08 08:54
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