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-続- 巨星去りゆく日 
平清盛が一世を風靡してから江戸時代末期まで
即ち武士が躍動した時代には
興味あふれる人物が数多く現れた。

私にとって魅力いっぱいの武将、
明智光秀、石田三成、真田重之・幸村兄弟、
そして、今日取り上げる大石内蔵助となる。
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自分の頭に有る内蔵助のイメージが固まったのが
池波正太郎氏の「おれの足音」を読んだ時だ。

確か1990年代半ばの頃のことだったと思う。

氏の描く内蔵助は背が低く小太りの男、
もしも松の廊下事件が無かりせば、
極々普通の男子、仕事はそこそこに切り上げ、
特に女遊び大好き人間として生涯を全うしただろう。

小説の最後に差し掛かった、討ち入り近しの日、
こんな描写が出てくる。

 この日はよく晴れていたけれども、風が強く、冷たい。
 昨日、瑶泉院がくれた「くくり頭巾」をすっぽりとかぶり、
 内蔵助は背を丸め、とぼとぼとした足どりで、
 「寒い、冷える・・・・・・」とつぶやきながら道を歩んだ。

これは討ち入りを控えた11月末日、
内蔵助が胸を病んでいる二十歳前の娼婦、
山城屋一学の御茶屋を訪ねるときの描写だ。





この部分を読んだ時、何故か頭の中に
勘三郎さん、当時の中村勘九郎の顔が浮かんできた。

小説を続ける。

内蔵助は更に討入りの前々日、
医者から貰った胸の薬を懐に
親子ほどに年が違う娘を再び訪ねている。

娘の為に薬を煎じ与える内蔵助、
勿論、これだけで終わるわけではない。

二人の最後の別れの場面。
 
 一学の部屋を出、店を後にした時、
 
 「お見送りは致しませぬ、悲しゅうなりますゆえ・・・・・・・」
  と、言った一学の泣き声が駕籠に揺られている内蔵助の耳に残っている。

歌舞伎ファンならずとも、
一学と同じ気持ちを満天下の諸氏は持たれていることだろう。

 「突然のお別れが悲しゅうて言葉もありませぬ」

本を読んだ数年後の1999年、
中村勘三郎さん(当時・勘九郎)は
NHK大河ドラマ、「元禄繚乱」(舟橋聖一原作)で
大石内蔵助を期待通りに演じてくれた。
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原作が違うので茶屋通いの一件はなかったが、
彼の内蔵助は誰が演じた内蔵助よりも
私の胸にズシーンと飛び込んできた。
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同年、大河ドラマ収録後の年末・大晦日、
彼は紅白歌合戦で白組の司会者を務めた。

今でも舞台狭しと右に左に笑いを振りまきながら
走り回る彼の姿が脳裏に焼き付いている。

時に彼、44歳、ここから秒刻みの生活が
突発性難聴を発症した時まで続いていく。

誰かがブレーキを掛けることは出来なかったのか?

いや、ブレーキをよしんば掛けたとしても
勘三郎さんのアクセルの力が勝ったであろうが。 

勘三郎さんは麻雀好きの先代であり父が亡くなった通夜の席
故人の遺影を前にして卓を囲もうと言いだした。

その時のメンバーがもの凄い。

第12代市川団十郎(当時・海老蔵)、
第15代片岡仁左衛門(当時・孝夫)、
そして先日亡くなられた森光子さんだったと言う。

今回はそんな粋な計らいをする人は居ないだろうし、
とてもとても、そんな気になろう筈がない。

どれほど惜しんでも惜しみ足りない死である。

慎んで御冥福をお祈りいたします。
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by shige_keura | 2012-12-07 08:32 | | Comments(0)
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