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西行が猫、頼豪が鼠
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国立劇場の新春歌舞伎、
幕開けは例年通り、菊五郎の音羽屋が座長となって、
鏡開き、獅子舞、振る舞い酒等々と併せ賑々しく行われた。
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演題は河竹黙阿弥、没後120年を記念して
彼の作品、「櫓太鼓鳴音吉原」から
「夢市男達競」(ゆめのいち おとこだてくらべ)。
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この作品のサブタイトルとして付けられていたのが
表題の、「西行が猫、頼豪が鼠」、
なんのことだ???? である。
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例年、正月初舞台は華やかで動きが多く、
筋はそれほど複雑なものではなった。

しかし、今回は華やかでおめでたい所は同じなのだが
随分と筋がひねられており、
時代も一気に進んだり、後戻りしたりと大変、
イヤフォン・ガイドの有難さが身にしみた。

第一幕は、頼朝治世の鎌倉幕府、
桜満開の鶴ケ丘の宮殿、
お正月に相応しい絢爛豪華な幕開けだ。

そこで、今始まろうとしているのが
病気治癒祈願の奉納相撲、
登場するのが第一代の横綱、明石志賀之助、
しかし彼は実際は江戸時代、寛永年間に活躍した力士だ。

何故、病気治癒祈願かと言うと、
そのとき、頼朝は木曽義仲が使う
鼠の悪霊に悩まされていたためだ。

時代が飛ぶだけでなく
中身も時代物、世話物入り混じって現れる。

何も考えないで見ている方が良いのかもしれない。





続く舞台は幡随院長兵衛を思わせる夢市の登場、
場所も大磯の京町と移るが
舞台設定は江戸の吉原の大店、三浦屋となっている。

三浦屋となれば傾城花魁として人気抜群、薄雲太夫登場、
彼女は猫好きで有名な女性だった。
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クライマックスは猫の化身となった
三浦屋新造、お蝶と鼠の一群の大立ち回り、
派手派手しい幕切が目の前で展開されていく。
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お蝶に扮するは尾上菊之助、
彼のここ数年の成長は頼もしく
歌舞伎界の将来を背負って立っていくことが期待される。
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さて、表題の「猫と鼠」であるが
本日の演目との直接の係り合いは非常に分かりにくい。、

これは河竹黙阿弥が原作の中で用いている
古い故事に係っているものであるからだ。
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「西行が猫」は「吾妻鑑」の中に出てくるもので、
西行法師が頼朝から賜った銀の猫の像のことであり、
本日の舞台でも小道具として使われていた。

「頼豪が鼠」は平安後期の伝説に発している。

頼豪(平安後期の僧侶)は白河天皇の皇子誕生祈願を頼まれ、
その甲斐あって目出度く親王が誕生した。

彼はその褒美として寺の改築を申し出たが
延暦寺が反対したため受け入れられなかった。

抗議の為断食した頼豪は命を落とし
その怨霊が鼠の大群となって
延暦寺を襲い多くの経文を食いちぎり
4歳の親王もその祟りで死んでしまった。
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このように、平安時代、鎌倉時代の故事を参考に
舞台も中世から近世まで時空を越え
洒脱な江戸弁から鎌倉武家社会の言葉まで
まさに新春の賑わいに満ちた舞台だった。
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by shige_keura | 2013-01-23 08:37 | | Comments(2)
Commented by 隠居同然のアンデルセン at 2013-02-19 12:16 x
 昨年の十八代目中村勘三郎丈の突然の死。

 今年の2月3日の十二代目市川団十郎丈の死。

 満足に立つことも出来ず呂律の回らない老人と歌舞伎の稽古もろくにしていない素人を歌舞伎の舞台に上げるという常軌を逸した暴挙。

 暗いニュースばかりだった歌舞伎界にとって、音羽屋の菊之助丈と播磨屋の四女瓔子嬢が結ばれるというエースのジョー級の上級ニュースは久しぶりに明るいニュースでした。

 このオチのために丈(嬢)を使いましたが、ここからは平常運転に切り替えます。


 私にとっては、勘三郎丈というより、まだ子供だった勘九郎ちゃんの映画「あっちゃん」や「ベビーギャンク」、彼が中心になってやった子供歌舞伎での「白波五人男」こと『青砥稿花紅彩画』が歌舞伎好きになるきっかけでした。

 今でも空で日本左衛門と弁天小僧と忠信利平の台詞を言えるほど夢中になっただけにショックでした。(5人男なのに3人しか覚えてないところで辞めた小学生だった当時の自分を叱りたい気分です)

 ちなみに『与話情浮名横櫛』の三幕目の切られ与三郎の名科白も50年前に覚え、今でも覚えています。
Commented by shige_keura at 2013-02-20 13:26
アンデルセン様、興味深いご意見、洒落たオチ嬉しく拝見しました。小生、歌舞伎についても、全くの初心者、イヤフォンガイドに耳を傾けながら、なるほどと納得しながら舞台を楽しんでいます。

1月の国立劇場では菊之助さんの横綱・明石にビックリしながらも彼の成長を頼もしく拝見しました。これからも、華やかで粋な舞台を楽しみたいと思っています。 どうもありがとうございました。
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