アル・パチーノ、1940年生まれの大スターだ。
彼の人気を決定付けたのが、 デビュー3作目、1972年の「ゴッド・ファーザー」。 マフィアのボス(マーロン・ブランド演)の末っ子 マイケル・コルレ―オーネに扮したアルは 一躍ハリウッドのトップスターへ駆け上がった。 その後、「スケアクロウ」、「ボビーディアフィールド」、「セルピコ」、 「ジャスティス」等で名演技を披露するも 何故かアカデミー賞に縁が無かった。 1992年、デビュー後23年目にして アルにアカデミー男優賞をもたらせたのが 今日紹介の「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」である。 本作品は2時間半を超える大作で 若干、冗長の感は否めないが ラスト30分を占めるアル・パチーノを見るだけでも 十分価値ある映画だと思う。 特に今日の、中・高学生、教育者にお見せしたいし、 見れば、何らかの想いが胸をかけめぐる筈だ。 アル・パチーノ演ずるは退役陸軍中佐、フランク・スレ-ド、 今は盲目となってこの世は闇、 絶望感にさいなまれている。 彼は、ニューヨークに行き、 人生の最後の馬鹿騒ぎをした後 ピストルで自分の生命を断つ計画を実行しようとする。 彼の水先案内をアルバイトで引き受けたのがチャーリー、 地元の進学校に通う苦学生だ。 スレ-ドは旅の初めからチャーリーが 何らかの悩みを抱えている気配を感じる。 一方、チャーリーはハチャメチャな行動を取るスレ-ドに 何時しか親愛と尊敬の情を感じてくる。 ただ、チャーリーはスレ-ドが察する通り 地元に帰れば全校集会で校長から糾弾を受ける。 何故なら、チャーリーは高校で起きたある事件の目撃者、 彼が見た事を言えば友達は処分を受ける。 しかし、チャーリーが沈黙を守れば 友人は救われるが自分には処罰が待っている。 友人を売るか? 自分が火の粉を被るか? ふたつにひとつの選択を下さねばならぬ。 そこまで、詳しい内容を知らぬスレ-ドは 高級ホテル、アストリアでウイスキーをがぶ飲みする。 「おい、ジョン・ダニエルを持ってきてくれ」 「えっ、ジャック・ダニエルじゃないでしょうか?」 「いいんだ、俺にとっては付き合いが長いから ジャックじゃなくてジョンなのさ」 わけのわかったような分からないようなセリフ、 そのあと、スレ-ドはピストルを自分のこめかみに当てる。 これから先は言わない方が良い。 最後のハイライトは高校の全校集会、 スレ-ドの名演説が聴衆ばかり観客を引きづり込み 爽やかなエンディングへと導いていく。 演説の中身は長くて全てを紹介することはできないが、 戦場経験のあるスレ-ドならではの部分だけ抜粋しよう。 「俺を甘く見るなよ! 俺は多くを見てきた、昔は見える目があった。 ここの生徒より年若い青年たちが腕をもがれ 足を吹き飛ばされた。 だが、何よりも無残だったのは魂を潰された奴だ。 潰された魂に義足はつかない。 君等はこの優れた若者をむざむざ故郷に追い返すだけでなく 彼の魂を殺そうとしているのだ。 何故か? 彼がべアード校の名前を汚した生徒だから・・・? 冗談じゃない、名前を汚しているのは他ならぬ君たちだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ あんた(校長)は言った。 ここは、この国の指導者の育成校だと、 根が腐って何が育つのかね? この学校の根は腐っている!!」 映画の全編を是非見てほしいが 時間が無い方、せめてスレ-ドの名演説を見て頂きたい。
by shige_keura
| 2013-01-25 09:08
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