これは1月3日の夕暮れから夜にかけての話だ。
昨12月はロスに長逗留、 帰国直後に苗場にスキー、そのまま娘一家宅に居候、 漸く2日に我が家に帰った。 独りの夕食だから手間はかけたくない、 だからと言って我が家で今年初の食事なのだから、 一応の格好はつけなければなるまい。 お気に入りの自分の干支が描かれたお猪口を出す。 金沢時代に気にいっていた九谷焼作家、竹腰潤さんのものだ。 彼は今や現代九谷を代表する超人気陶芸作家に上りつめた。 徳利は娘から貰った鍋島焼、 胴の膨らみがユニークでとても気に入っている。 酒は正月の為に仕入れた黒帯、 お燗の具合はあくまでも「ぬる燗」でとどめなかればならぬ。 目の前には湯豆腐の小鍋立て、 それこそ舐めるが如くジックリ飲るが、なんとも言えず旨い。 そのあとは自己流、「雉焼き丼」。 鶏のもも肉の切り身の照り焼き、 脇に醤油を絡めた焼きネギとエノキのバター焼きを添える。 ネギはちゃんと網で焼いた後に フライパンでオイルと醤油を絡めたものだ。 勿論、上にパラパラっと海苔を掛けてひと口ふた口。 「うーむ、これはなかなかいけるぞ! しかし、鶏肉を使うのになんで雉焼きと言うんだ?」 その昔は雉を使っていたの由来だろうが、 「雉焼き」と言う名前には、お豆腐の雉焼きもあり マグロやカツオを生姜醤油に漬け込んで焼いたものも 雉焼きとよばれているそうな。 更には「雉焼き」ではなく「生地焼き」と書く、 すなわち、鶏もも1枚の生地をつかうからだ、 と、いったこじつけまがいの解釈もある。 ともあれ、旨ければ文句は無い!! 「御馳走様」までは至極順調に時間は経過した。 テレビは先ほどから相も変わらぬタレントの馬鹿騒ぎを 飽きもせず映し出している。 ”バカたれ!”(馬鹿タレント)とはこのことか! 外は、とっくに陽が暮れて真っ暗だ。 そのとき、今まで考えたこともない不安に襲われた。 それは、何時の日にか 毎日を独りで暮らす境遇に陥る可能性が 無いわけでは無いということだった。 男女の平均寿命を当てはめれば その可能性は50%以下、30%位なのかもしれぬ。 しかし、たとえ3割としても、 これはかなりの可能性があるということだ。 一体全体、そういった境遇に陥った場合、 私はそれに耐えて毎日を送っていくことが出来るのだろうか? 周りにはそういう男性は沢山いる。 ならば、自分でもやれぬわけではないのだろうが・・・・・・ そんなことを考えているうちに 寂寞たる想いが胸の中を駆け巡っていった。 今まで、ここまで深くとらわれた事のない想い、 人間、歳をとると湿っぽくなっていけねー!
by shige_keura
| 2013-01-26 18:27
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