私にとって大好きな映画ジャンルが西部劇だ。
正確に言えば、好きなジャンルと言うよりか 西部劇に誘われて映画の世界に入っていった。 「駅馬車」のジョン・ウエイン、「真昼の決闘」のクーパー、 「シェーン」のアラン・ラッド、「荒野の決闘」のヘンリー・フォンダ、 半世紀以上前のスクリーンを彩ったスタ―達が今でも脳裏にくっきりと浮かぶ。 西部劇の長い歴史を振り返ってみると 1964年に一大転機が訪れた。 転機をもたらした作品は「荒野の用心棒」 主演は今やハリウッドの大御所、クリント・イーストウッドである。 この作品は西部劇史上初めて 舞台、撮影場所を北米から南欧州に飛びだしたものなのだ。 以降、マカロニ・ウエスタンの名前のもと 毛色の変わった西部劇が一世を風靡した。 どのように変わったのかと言うと 一言でいえば暴力性に富んだ西部劇となった。 「シェーン」と「荒野の用心棒」の主人公を比べてみよう。 二人は共に名うての早撃ち、 やくざな渡世の旅烏ではあるのだが、 キャラクターはまるで異なっている。 少年ジョーイの頭を優しくなぜながら諭すシェーン。 「おじさんはもう後戻りできないんだ、 ジョーイ、お父さんお母さんを大事にしなさい」 ワイオミングの山に消えて行くシェーン、 詩情に満ちた名画と言えよう。 一方は名無しの荒野の用心棒、 この作品に詩情のかけらを求めようともどこにも見当たらない。 ただただ、金の為に相手を倒す、 そのやり方も、時には残虐非道である。 本作品の邦題は「荒野の用心棒」なのだが オリジナルタイトルは「A Fistful of Dollars」 ”ひと握りのドル”なのである。 即ち、ひと握りの金の為ならなんでもやるぜ! 翌々年、1966年に暴力性が更に強まった作品、 「続・荒野の用心棒」が公開され世間をあっと言わせた。 棺桶を引きづりながら荒野を彷徨い お尋ね者を殺して賞金を稼ぐ。 その残虐性ゆえに多くの国で上映禁止の措置がとられた。 例えば、英国では27年後の1993年、 18歳未満お断りとして漸く公開された。 暴力描写満載の「続・荒野の用心棒」は マカロニ・ウエスタンの新たなヒーローを生み出した。 それは、オリジナルタイトルともなった「DJANGO」(ジャンゴ) 映画の主人公の名前、演ずるはイタリアの俳優フランコ・ネロだった。 彼は続く数本のDJANGO役で 一躍有名スターの座に駆け上がっていった。 従来の西部劇のカラーをがらりと変えたマカロニ・ウエスタン、 そのなかの一大ヒーロー、ジャンゴがこのほど里帰りした。 監督は暴力描写大好きのクエンティン・タランティーノ、 一体、ジャンゴはどんな男になって帰ってきたのだろうか? 明日に続く、
by shige_keura
| 2013-03-17 12:42
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