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半世紀ぶりの里帰り  -後篇-
クエンティン・タランティーノ、今年で50歳、
28歳のときデビューしたのが「レザドア・ボックス」、
その暴力描写で一躍注目された男である。

彼の熱狂的ファンは多く、
その熱の上げ方はタランティーノ信者と言ってもよい。

目をそむけたくなるような残酷な描写、
それが妖しいまでの魅力を持って信者を吸い寄せるのだろう。

しかしながら、私は彼の作品は肌に合わない。
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最高傑作と言われる「パルプフィクション」、
まさにタイトルを思わせるスト-リ-、
これには流石だと思わざるを得ない。

が、しかし、彼の露骨な描写は
私にとっては余り良い後味とはならないのだ。
半世紀ぶりの里帰り  -後篇-_c0135543_21413357.jpg

ただ、今回の「DJANGO、繋がれざる者」には興味を魅かれた。

あの、暴力描写で話題を撒いた「続・荒野の用心棒」、
主人公の荒々しいジャンゴを
暴力タッチが十八番のタランティーノが如何に料理したのか?

更には、今回のアカデミー賞、
作品賞にノミネートされただけではなく
助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)、
オリジナル脚色賞(タランティーノ)を受賞している。

これは見ずにはいられない。






マカロニウエスタンの音楽と言えばこの人、
エンニオ・モリコ-ネの調べと共に幕が開く。

西部劇ファンにとっては堪らない。

時は南北戦争が始まる数年前、
黒人は言わば人間として扱われていなかった時代の話だ。

歯医者とは仮の姿、ドイツ訛りの紳士、
実は賞金稼ぎが隠し持つデリンジャー銃が火を吐く。
               
半世紀ぶりの里帰り  -後篇-_c0135543_21501656.jpg

久しぶりにお目にかかるデリンジャー、
かつては「西部のパラディン」が愛用していた小型ピストル、
これまた私にとっては嬉しくなる小道具登場である。
               (リチャード・ブーン演ずる「西部のパラディン」)
半世紀ぶりの里帰り  -後篇-_c0135543_21505115.jpg

周囲の森に吸い込まれていく銃声、
音響効果も相まって観客は銀幕に引きづり込まれる。

賞金稼ぎによって救われた奴隷のジャンゴ、
彼はパートナーとなって賞金を稼ぐ一方
連れ去られた妻を探す旅を続ける。

探す妻は極悪非道の主が経営する大農園に居る。

残虐な主人を演ずるは悪役初演のレオナルド・ディカプリオ、
彼の貴重なあくの強い芝居も一興だが
狡猾な執事となって登場するサミュエル・L・ジャクソンがもの凄い。
半世紀ぶりの里帰り  -後篇-_c0135543_21574835.jpg

彼の目の動きのお芝居を見るだけでも価値のある映画だ。

さー、ここからは虚々実々の駆け引き
監督が監督だけに一筋縄では終わらない。

見終わった後の感想をふたつ。

オールド西部劇ファンには若干違和感が残るが面白いが
御同輩には刺激が若干強すぎるかもしれない。

162分と言う大作!!

飽きはしないが終盤の20-30分を削ぎ取れば
更に引き締まった良い作品となったことだろう。

何しろ、料理(撃ち合い・殺し合い)満載のフルコース、
次から次への登場は食傷気味となるし麻痺してくる。

しかし、これだけは断言できる。
タランティーノ健在なり!!

刺激を求めるオールドファンは是非劇場に足を運びたまえ。
by shige_keura | 2013-03-18 08:40 | その他
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