クエンティン・タランティーノ、今年で50歳、
28歳のときデビューしたのが「レザドア・ボックス」、 その暴力描写で一躍注目された男である。 彼の熱狂的ファンは多く、 その熱の上げ方はタランティーノ信者と言ってもよい。 目をそむけたくなるような残酷な描写、 それが妖しいまでの魅力を持って信者を吸い寄せるのだろう。 しかしながら、私は彼の作品は肌に合わない。 最高傑作と言われる「パルプフィクション」、 まさにタイトルを思わせるスト-リ-、 これには流石だと思わざるを得ない。 が、しかし、彼の露骨な描写は 私にとっては余り良い後味とはならないのだ。 ただ、今回の「DJANGO、繋がれざる者」には興味を魅かれた。 あの、暴力描写で話題を撒いた「続・荒野の用心棒」、 主人公の荒々しいジャンゴを 暴力タッチが十八番のタランティーノが如何に料理したのか? 更には、今回のアカデミー賞、 作品賞にノミネートされただけではなく 助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)、 オリジナル脚色賞(タランティーノ)を受賞している。 これは見ずにはいられない。 マカロニウエスタンの音楽と言えばこの人、 エンニオ・モリコ-ネの調べと共に幕が開く。 西部劇ファンにとっては堪らない。 時は南北戦争が始まる数年前、 黒人は言わば人間として扱われていなかった時代の話だ。 歯医者とは仮の姿、ドイツ訛りの紳士、 実は賞金稼ぎが隠し持つデリンジャー銃が火を吐く。 久しぶりにお目にかかるデリンジャー、 かつては「西部のパラディン」が愛用していた小型ピストル、 これまた私にとっては嬉しくなる小道具登場である。 (リチャード・ブーン演ずる「西部のパラディン」) 周囲の森に吸い込まれていく銃声、 音響効果も相まって観客は銀幕に引きづり込まれる。 賞金稼ぎによって救われた奴隷のジャンゴ、 彼はパートナーとなって賞金を稼ぐ一方 連れ去られた妻を探す旅を続ける。 探す妻は極悪非道の主が経営する大農園に居る。 残虐な主人を演ずるは悪役初演のレオナルド・ディカプリオ、 彼の貴重なあくの強い芝居も一興だが 狡猾な執事となって登場するサミュエル・L・ジャクソンがもの凄い。 彼の目の動きのお芝居を見るだけでも価値のある映画だ。 さー、ここからは虚々実々の駆け引き 監督が監督だけに一筋縄では終わらない。 見終わった後の感想をふたつ。 オールド西部劇ファンには若干違和感が残るが面白いが 御同輩には刺激が若干強すぎるかもしれない。 162分と言う大作!! 飽きはしないが終盤の20-30分を削ぎ取れば 更に引き締まった良い作品となったことだろう。 何しろ、料理(撃ち合い・殺し合い)満載のフルコース、 次から次への登場は食傷気味となるし麻痺してくる。 しかし、これだけは断言できる。 タランティーノ健在なり!! 刺激を求めるオールドファンは是非劇場に足を運びたまえ。
by shige_keura
| 2013-03-18 08:40
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