つい昨日までは長い寒い冬、と思っていたら
今日(9日)はバカ陽気、明日は夏日の所も出るとか!!! おまけに折角暖かくなればなったで花粉症に黄砂、 悩みは尽きませんな---。 ちょっと外出しただけなのに なんとなく身体中埃っぽく、 早く風呂に入り、洗髪せずにはいられない。 話は変わるが、 日本が世界に誇るべき長所は はっきりとした四季があると言うことだ。 どこの国でも春夏秋冬の言葉はあるかも知れぬが、 日本ほど四季がほぼ等分に巡ってくる国は他にない。 そのことが日本人が本来持つ美徳のひとつ、 「きめ細やかさ」を生みだしたものであろう。 日本人は常に四季を意識して生活している。 ただ、このような気候が続き、季節感がなくなると、 「生活してきた」と過去形になるかもしれない。 四季それぞれの季節に備えなくても良いとなれば 生活はもっと楽に単純化していくと思うが、 毎日が味気なくなってゆくことにもなる。 例えば、酒の飲み方ひとつをとってもそうだ。 春夏秋冬、それぞれが違う顔であるからこそ、 酒の飲み方も違い、それぞれの楽しさが生まれてくる。 世界に山ほどあるアルコール飲料、 日本酒ほど、そのときの気分、季節季節ごとで 飲む温度が細かく分かれているものはあるまい。 温度の違いによる名前の違い、 これを分かっている人はあまり居ない。 「今日の燗は人肌で頼むぜ」。 この場合ならば、人肌であるので 概ね35-36度であることは見当がつく。 それでは、熱燗とは何度なのか? ぬる燗とは何度なのか? これは多くの場合、勝手に言っているだけで どの程度の温度かまでは知らない人が殆どだろう。 言ってる私ですら、お酒の温度がかように繊細に 呼び名によって規定されているとは知らなかった。 熱い順に並べてみよう。 飛びきり燗 55度以上 熱燗 50度 上燗 45度 ぬる燗 40度 人肌燗 35度 日向燗 30度 すず冷え 15度 花冷え 10度 雪冷え 5度 この中に、常温が見当たらないが、それは当り前 常温であるので、そのときどきで異なってくるが 大体の見当は20度辺りなのだろう。 燗の場合を見てみると、 実に5度刻みで飲む温度と燗の名前が付けられている。 気障なフレンチ・レストランでちょっとしたワインを頼むと ボトルの中身がうやうやしくデカンタに移しかえられる。 これは、長い事寝かせておいたワインに 呼吸をさせるためで、それなりの意味はある。 それなりの意味はあるが大仰である。 たかがワインを飲むのにこれほど儀式ばることはない。 吾等、日本人の日本酒の飲み方はもっとさりげない、 奥ゆかしさ、そしてきめ細やかさが滲みでている。 このような、日本そして日本人の良さ、 「きめ細やかさ」はもっと大事にしたいものだ。 凍てつくような冬の夜、おでんでいっぱいとなれば チロリで若干熱くした上燗が塩梅良かろう。 桜の花がひらひらと舞う下での宴、 これは常温の酒で良い心持になる。 一方、日も暮れて窓の向こうは夜桜が、 となれば、ぬる燗でちびりちびりが旨えだろうな。 情景を思い浮かべるだけで ジワーッとした酔い心地を感ずる。 しかし、今、居酒屋で「日向燗」なんて頼んでも 目を白黒されるばかりだろう。 「マスター、変な客が来てますよ」とでも言われかねない。 それはそれとして、これからの花の季節 ほろ酔いの心地良さを味わいたいものだ。
by shige_keura
| 2013-03-10 11:08
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