今はどの病院でも手術の場合
患者に手術同意書の内容を理解させた上 承諾の署名を求めている。 60年目のオトシマエと勇み立った(?)私だが 同意書の中身を読んだ途端、気分が萎えてしまった。 病名:慢性副鼻腔炎症、鼻中彎曲症 手術:内視鏡下鼻腔手術、鼻中隔矯正手術 方法:全身麻酔、手術時間は約2時間 鼻中隔の粘膜切開、 鼻中隔の軟骨、骨を剥離・切除し、鼻中隔の曲がり矯正 内視鏡下に骨や病的な粘膜を切除、鼻腔と副鼻腔との交通をつける 合併症:・再発 ・術後出血、感染 ・眼窩内出血 ・髄膜炎、髄液漏 ・外目筋の損傷の結果、ものが二重に見える ・視神経の損傷の結果、高度の視力障害 ・発熱、肝機能障害、肺炎、歯牙の損傷 これを読む限りでは、蓄膿症根絶と臭覚保全が成されるとしても それに伴うリスクが途方もなく大きく危険である。 これが麻雀だったら私は躊躇なく下りていただろう。 ただ、この時点で私はどういうわけか 全身麻酔に心惹かれる想いがあったことは確かだ。 人生初めての体験も悪くはないし 意識を失っているうちに敵を退治してくれるのも有難い。 このような実に「ノ-テンキ」な考えにとらわれていた。 気がついてみれば、同意書にサインしていた。 入院はお馴染みの麻布・広尾の日赤医療センター。 この病院の前身は「博愛社」、 1887年(明治20)に勃発した西南戦争で 敵味方区別なく負傷者を救護する目的で設立された。 敷地はかつて堀田備中守が屋敷を構えていた場所、 1891年(明治24)日本赤十字病院(現在・日赤医療センター)となり 1949年(昭和24)以来、皇后が名誉総裁となっている。 まー、てっとり早く言えば由緒正しき病院なのだが 患者として関心があるのは医療の技術力と居心地である。 2010年に新棟お披露目が成され 建物の内外ともに高級マンション・ホテルもかくやの風情となった。 ラウンジからは天気さえよければ富士山を仰ぎ、 マンモスシティ・東京の景観をたっぷりと味わえる。 とは言え、いくら建物が新しく綺麗でも いくら見晴らしが良くて素晴らしい景色が拝めるとも いくら看護師の方々が親切でも 所詮、病院は病院であり、 心はればれルンルン気分にはなりようもない。 手術は明日、日が暮れるに従って 全身麻酔を一時でも願望した己の愚かさを恥じた。 全身麻酔とは薬処置後、3分ほどで呼吸が停止、 そのあとは人工呼吸器の管が通され呼吸のサポートをする。 ちょっと考えれば気持ちの悪い不気味なものだ。 呼吸のサポートが上手くいかなかったら??? もしも全身麻酔から目覚めぬ時は??? 遺書でもしたためなければいけないのじゃないか? そんな暗澹たる気分を抱き床に就いた。
by shige_keura
| 2013-03-25 09:10
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