昭和14年1月15日、大相撲初場所4日目
横綱・双葉山は安芸ノ海との一番を迎えた。 勝負が始まる直前、和田信賢アナウンサーはこう言った。 「双葉70連勝をかけて安芸ノ海との一番、 70は古稀、古来稀なり!」 取組は相撲史最大の大番狂わせ 無敵の双葉山は敗れ、 古稀(70連勝)を達成できなかった。 古稀の源は中国・杜甫の詩「曲江」の一部、 「酒催は尋常行く所に有り、 人生七十古来稀なり」となる。 この部分だけを訳すと次の通りだ。 「酒代の借金は日常の事で行く先々にある。 この人生70まで生きることは稀なので 今のうちに精々楽しみたいのだ」 私の幼い頃の70歳の人間、 それはそれはお年寄り、 「花咲か爺さん」、「竹取物語」の翁に見えた。 だからこそ、70年を生きることを 「古く稀なる人」古稀と言ったのだろう。 それが今では70歳など珍しくも何ともない。 石を投げれば70歳以上の老人に当たり、 それこそ「コキ―ン!」と音がする。 還暦と古稀の違いは何か? 当たり前のことだが還暦は満年齢の時に祝い 古稀は本来は数え年齢で祝うものだ。 還暦は自分が生まれた干支が 60年たって巡り巡ってくるのだから 数えで祝うわけにはいかない。 一方、古稀、喜寿、米寿等は 満年齢を待つよりも少しでも早くと 数えでお祝いをするのだろう。 爺の場合、本来の古稀はとうの昔に過ぎ去り 数えの71を迎える新年と同じ月には 好むと好まざるに係らず満年齢の70歳を迎えてしまう。 この画像は、娘一家、孫たちが 古稀のお祝いを11月にしてくれた時のものだ。 そのとき、プレゼントとして貰ったのが 吉田製のカバンである。 正直言って吉田カバンの名前初めて聞く名前だ。 聞くところによれば、カバン作りとしては老舗、 近くの代官山にも店を出すブランド店だそうだ。 手に取ってみると軽くて持ちやすくて 中を開ければ適度にポケットがついていて使いやすそうだ。 「結構高いのだからちゃんと使ってね!」 娘たちの念押しの声、 それがあったからではないが 以来、件のカバンを小脇にいそいそと出かけている。 根が単純なものだから 子供達からのプレゼントが仕事への意欲を 後押ししてくれているように思えてならない。 コキ・コキ・コキと油のすり減った身体の音を聞きながら 寒空の中を仕事に出かける翁、ここにありけり。
by shige_keura
| 2013-12-26 09:27
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