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魔術再び!
映画ファンにとって、難しい質問のひとつは
「貴方にとって最も好きな映画は何ですか?」ではないだろうか。

年と共に映画への理解力も違ってくるし、
それにともなって好きな映画にも変化が出てくる。

又、あれも好きだ、これも素晴らしいとなって
ベストワン・1本に絞るのが誠に難しいのが映画である。

私の場合、小学校から中学1年にかけて
当たり前のことだが、面白い映画が好きな映画だった。

例えて言えば、小学校時代、
御贔屓、ゲイリー・クーパー作品では
アカデミーを受賞した「真昼の決闘」よりも
たっぷりとガンプレーが披露される「ベラクルス」の方が好きだった。
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中学校2,3年生の頃になると、映画への理解力も深まってきたのか、
ジョン・フォードの「静かなる男」、ウイリアム・ワイラーの「友情ある説得」、
デヴィッド・リーンの「戦場にかける橋」がベストスリーとなった。
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但し、一癖も二癖もあるイタリア・フランス映画は
未だ青二才にとっては壁が高い時代だった。

高校時代に入ると、ハリウッド映画に加えて
フランスの「現金に手を出すな!」、「太陽がいっぱい」、イギリスの「第三の男」、
オーソン・ウエルズの「市民ケーン」に傾倒していった。
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しかし、この頃でもイタリア映画、
例えば、フェリーニ傑作、「道」の素晴らしさは分からず、
こんな暗くてじめじめした映画の何処がいいんだと思った頃だった。
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「道」が好きな映画のベストファイブに入ってきたのは
大学も卒業した後のころではなかったか?

又、映画史に残る大傑作と必ず言われる
フランスの「天井桟敷の人々」については
今でも映画の面白さをあまり感じない。

このように、映画の好みも年と共に変化し
私の中には最も好きな映画、ベストワンは存在しなかった。

但し、あの映画を観るまでは。





あの映画とは,1989年の「ニューシネマ・パラダイス」
イタリアのシチリア生まれの監督、
ジュセッぺ・トルナトーレ、33歳の時の作品だ。
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以来、私のベストワン(最優秀)映画は不動のものとなった。

作品に溢れる映画への愛情の深さに胸を深く打たれたのだが
その表現は映画ファンにとっては堪らない場面となった。

それは、今は映画界の成功者となったサルヴァト-レ(ジャック・ぺラン演)が
師とも仰ぐアルフレ-ド(フィリップ・ノワレ演)が自分の為に残しておいてくれた
映画のキッスシーンを繋げたフィルムに観いる場面である。
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評論家の中には、この表現は禁じ手だと批判する意見もあったが、
倫理を外れていなければ映画の表現方法に禁じ手など有りはしない、
潔くトルナトーレの魔術に酔えばよいのだ。

現在絶賛上映中の作品がトルナトーレの最新作、
「鑑定士と顔のない依頼人」、
数日前に足を運んだ映画館は
それこそ超満員、空席はひとつもなかった。

筋については何も語るつもりはないが
久しぶりにトルナトーレの仕掛けた魔術に酔った。

「ニューシネマ・パラダイス」とは趣を変えた
ミステリー、サスペンスタッチの作品。

しかし、ミステリーにありがちな殺人、暴行の影はなく
警察関係者、刑事の登場もない。

或る意味、純真無垢、腕は一流の鑑定士が
謎の依頼人と係り合いを持つことで・・・・・・・
あとは観てのお楽しみである。

面白いと思ったのは日本と欧米のタイトルの違いである。

日本のタイトルは「鑑定士と顔のない依頼人」だが
イタリア語では「La miligliore offerta」
英語はイタリア語を直訳した「The best offer」である。

日本のタイトルはあくまで表面的で味気なく、
欧米は内面に触れた奥深い題名となっている。
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by shige_keura | 2014-01-19 16:13 | | Comments(0)
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