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見の辛さよ、難しさよ!
「見」は「けん」と呼んでほしい。

自らを無頼派と任ずる、伊集院静氏の
勝負事を描く随筆に良く出てくる言葉だ。

スポーツ、博打等勝負事の世界を描く達人と言えば、
いずれも故人となられたが、
阿佐田哲也さん、山口瞳さん、寺山修司さんが
私にとってのビッグスリーだ。
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現代に目を向けると
博打の世界の第一人者は伊集院静氏ではないだろうか。
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浅田次郎さんの名前も浮かぶが
何故か、私には波長が合わない。

競馬の世界ならば山口瞳さんと寺山修司さん、
御両所の馬に注ぐ愛がヒシヒシと伝わってくる。

麻雀を書かせれば阿佐田哲也さんは別格、
先輩良く言われる、賭場の「ひりひり」とした感覚が他を圧している。

さて伊集院さんに話を戻すと、
氏は競馬もお好きなのだろうが
もっと得意なのが競輪の世界のお話だ。

ギャンブルにのめりこんだ者が放つ迫力ある文章、
そのなかで良く出てくる言葉が「見」(けん)である。

競輪場に居ながらにして
車券を買わずレースを見るだけの事である。

この「見」が素人博徒にとってなかなか難しいことなのだ。

「だってよ、目の前の御馳走を食わずに済ませろってのか!」
このような心境になるのである。






競馬場或いは場外馬券場に行くと良く聞く言葉が或る。

「買うと来ないし、買わないと来る」
これは、競馬・競輪・ギャンブルファンの心理を言い表わして妙なる言葉だ。

馬券を買うと当たらない、
ところが、買わない見ていると
なんと嘲笑うようにその馬が1着で飛び込んでくる。

「じゃあ、どうすればいいんだ」となるのだが
結局のところ、勝負事を好む人にとって
馬券を買わずにやりすごすことは非常に辛い。

買わないと損するぞ!
このプレッシャーに潰されるのだ。

競馬は私にとって推理のゲームであり
ゲートが開くまでの時間が非常に楽しい。

勿論、推理通りに事が運べばもっと楽しい。

競馬ファンならば誰でもが、
馬券購入前に頭の整理がつくレースと
なんだか迷っているままに買うレースが或る。

経験値で言うと、前者の場合は贔屓目で5割の確率で的中する、
その一方、後者の場合、的中率は、ほぼゼロである。

しかし、問題は「事前に納得するレースはどのぐらいあるのか?」である。

1日のレース数は12、
前日の新聞検討で、すっきりした気分になるのは
3-5レースほどでしかない。

その他のレースは考えれば考えるほど
袋小路に迷い込んだ気分となる。

そこで臨む当日、パドックで馬を見て最終的な判断、
そしこれだ!と自信あるレースでさえ
的中率は良くて5割となる。

従って1日、12レース遊んで
的中するレースは2,3レースにしかならぬのが普通だ。

「なーんだ、なら、簡単じゃないか、
 迷った場合は買わなきゃいいじゃないか」

そんな声が聞こえてくるのは先刻承知。

しかし、賭け事好きで意志薄弱な者に言わせれば
「さくらー、それを言っちゃ―、おしめーよ」、寅さんになる。

最近良く行くのが汐留のウインズの指定席、
周囲には言葉は交わさねど、顔は見知った御常連が今日も居る。

「おい、やはりこれは馬券を買うレースじゃなかったな」

「だけど、買わなきゃ当たらないからな」

素人博打うちは誰もが「見」の重要性を知りながら
「見」の辛さに心が折れて、
「あーあ、やっぱり、買うと来ないな-」となってしまう。

そこにギャンブルの深淵なる魔力が存在している。
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ギャンブルの悪魔の「おいでおいで」、
その囁きに抗うほどに私の意志は強くない。
by shige_keura | 2014-03-18 19:20 | その他
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