主人公の職業は小説家、俳優、脚本家、
クラリネット奏者と多彩を極めるが、 世に最も知られているのは映画監督としてである。 映画ファンならば先刻ご承知、 映画界きっての才人、ウッディ・アレンその人である。 アレンの新作「ブルー・ジャスミン」の試写会を ひょんな縁で代官山のブッティクの一室で鑑賞した。 前作、「ローマでアモ-レ」、前々作「ミッドナイト・イン・パリ」 ロマンティック・コメディ-が続いたが 今回は180度転換、シリアスで辛口、 上質な人間ドラマとなった。 主人公は華やかな生活が忘れられぬ女性、 名前はジャスミン、官能の香り、夜開く花・ジャスミン。 しかしながら、彼女の本当の名前はジャネット、 このありふれた名前を嫌ってジャスミンと改名、 ジャスミン・フレンチと名乗る彼女の周りは ルイ・ヴィトン、シャネル等々フレンチ・ブランドが一杯だ。 物語は過去と現在を巧みに行きつ戻りつ、 ブルームーンをはじめスタンダードジャズが流れる中を ウッディ・アレンの腕が冴えに冴える。 アカデミーにノミネートされること24回、 にもかかわらず、ウッディーに巨匠の称号は似つかわしくない。 彼こそ、映画界きっての才人、 映画作りのマジシャンと言って差し支えないだろう。 16歳の時にウッディーは初舞台を踏んだのだが、 その時の肩書はマジシャンだった。 道理で彼の映画を観ていると 華麗なるマジシャンの手さばきを彷彿、 心地よい魔術の酔いを満喫させてくれる。 全編に流れるスタンダード・ジャズの調べが耳に優しい。 クラリネットを操って「ウッディ・アレンとニューオルリンズ ジャズ・バンド」 (Uddy Allen and his New Orleans Jazz Band)を率いる ウッディーならではの業である。 更に、特筆すべきは、主役を演じたケイト・ブランシェット、 映画を観た誰しもが、彼女の本年のアカデミー受賞を納得する筈だ。 オリジナル・タイトルが「Blue Jasmine」、邦題も「ブルー・ジャスミン」、 今回は題名に異を唱える所は何処にもない。 ただ、ジャスミンの前に付けられたブルーの言葉、 これを、どのように解釈するかは観客に委ねられている。 マジシャンが投じたひとつの鍵が ジャスミンの最も心に残る歌、「ブルームーン」になるのだろうか?? Blue Moon, you saw me standing alone Without a dream in my heart Without a love of my own (ブルームーン、独りぼっちで佇み、 心に希望もなく、恋人も居ない私を見ているのね) 歌はこう結ぶ。 Blue Moon,now I'm no longer alone Without a dream in my heart Without a love of my own (ブルーム-ン、もう独りじゃない 夢もない、恋人も居ない私じゃないの) しかし、現実は・・・・・???
by shige_keura
| 2014-04-07 18:25
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