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英国11日間の旅 -発端は「ネス湖の生一本」-
旅と言うのは出かける前は甚だ面倒だが
行ってしまうと、実に楽しい体験となることが多い。

中でも、今回のスコットランドとロンドン周辺、
都合11日間の旅は、天候にも恵まれ格別なものとなった。

今回の旅のきっかけを辿ると、1988年の昔に遡ることとなる。
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当時、好んで読んでいた故・景山民夫氏の随筆集、「普通の生活」の一篇、
「ネス湖の生一本  グレンモ-ランジ-」が
スコットランドへ、ネス湖へ、そしてスコッチウイスキー・シングルモルトへと
私の心を大きくかきたてたのである。

随筆はネス湖周辺、何もないスコットランドの田舎の描写から始まる。

                (目の前にはネス湖が広がって、6月15日、2014)
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横長、40キロに及ぶネス湖に沿ったドライブ
行き交う車は殆どないが漸く1台の車とすれ違う。

生粋のイギリス紳士と覚える車の主が
すれ違いざま、帽子に手を掛けて挨拶、
見ず知らずの他人なのだが、これが男の作法である。





ネス湖畔の小さなホテルのバー、
頑固一徹のバーテンダーは、黙ってシーバス・リーガルを目の前に置く。

「俺は、本当のウイスキーが飲みたい、
 シーバスは日本だって飲めるんだぜ」

「ほー」とした表情を浮かべた男は
奥の部屋から1本のボトル、封を切ってウイスキーグラスに注ぎ
腕組みをしたまま客の景山民夫を見つめる。

ハイランドモルトにしては甘味があるが
ブレンドに比べればストレートに頭の芯に伝わってくる。

「非常に美味しい」と感想を言うと、初めてバーテンは口を開いた。

「ここいらの酒だからな」
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窓の外は黄昏が本格的になって
空がマーマレード色に染まってきている、
湖面には何も動く気配が無い。

グラスを三杯飲ったあと、外に出ると
ビールのジョッキを抱えた村人の会話が耳に入る。

「先週の土曜日に、あそこの爺さまが
 畑の帰りにモンスター(ネッシ-)を見たとよ」

「ほー、そいつは運が良かった」

四杯目を開けたところでバーテンダーの呼ぶ声がする。

「レストランが閉まっちまうんだ、食事にしてくれ」

翌朝5時に起きた景山が外に出ると
件のバーテンダーが黙々と働いていた。

二人の関係は、3日間同じことを繰り返す事で
お互いの気持ちは言葉には表わさずとも通じるようになっていく。

夕方になると目の前に何も言わずともグレン・モ-ランジ-があった。

「うーん、この酒は実に旨そうだ!」
グレン・モ-ランジ-って言うのか、覚えておこう。

本を読んでから20年以上もの年月が経過した。

シングル・モルトの熟成度はこれ以上もないほどに高まって来ただろう、
無論、こちらの体力の熟成度はもっと問題となる。

今をおいて他は無い。

6月13日、よりによって金曜日、
羽田から私を乗せたBA機は目的地に向かって羽ばたいていった。
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by shige_keura | 2014-06-26 22:15 | | Comments(0)
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