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洲崎と言えば -3- 車に懸けた夢
大正11年(1922)11月12日、日本で最初の自動車レースが
洲崎の埋め立て地で行われた。
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大会名称は“日本で最初の「自動車大競走」”、
主催は報知新聞社であるが、その裏には自動車に自らの夢を託した男が居た。
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彼の名前は藤本軍次、破天荒で一直線、
ソロバンを弾く前に行動に移すタイプの男だった。
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藤本軍次は山口県の生まれ、11歳の時に理由は分からぬが父に手を引かれて渡米、
シアトルで15年間過ごした。

折しもアメリカは自動車の草創期、
彼は自動車学校を卒業後、自動車修理会社を経営した。

藤本が最も情熱を傾けたのは自動車レースで
各地で開催されるレースに参加、
最高峰のインディ500への参戦を本気で考えていた。

その後、排日感情が高まり、会社経営も難しくなった1922年帰国した。









帰国後、藤本が耳にしたのが
下関―東京の間に新たに運行された急行列車、
その所要時間は28時間、当時としては画期的なスピードを誇っていた。

藤本は報知新聞と掛け合い急行列車と車との競走を実現したのだが、
ここでも彼の考えるより行動が如何なく発揮されていた。

何故なら馬車から鉄道へと変化したアメリカと日本では
全く道路事情が異なっていた事を藤本は計算に入れなかったのだ。

下関を同時にスタートしたのだが、
藤本は行く手を荷馬車、大八車に遮られスピードを上げることは出来ず、
挙句の果てに富士川には車が通れる橋が無かったので
浅瀬を探して渡河することを強いられた。

その結果レースは完敗、藤本の車は急行列車に遅れること12時間、
40時間をもかけて東京に辿りついた。
               (ゴールに到着した藤本軍次、右側)
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ゴールにたどり着いた時に彼はこう言った。
「どうだい、普通列車には勝ったんだぜ」。

敗戦にひるむことなく藤本は次の計画、日本自動車倶楽部設立を実現した。
そして再び報知新聞と掛け合って
洲崎の埋め立て地を使った自動車レースを
同年の11月12日に開催したのだった。

当日は3万人の観客を集めたのだが、
直前に警察の横やりが入り危険防止のために
1台ごとのタイムトライアルと味気ないものとなった。

しかし、観客はエンジン音と共に走る車の魅力に酔いしれ、
この日を境に自動車レースへの期待が高まっていったのである。

世論に後押しされた藤本はオオタ自動車の太田祐雄等と
東急電鉄に掛け合って多摩川の河川敷に待望の常設自動車レース場、
「多摩川スピードウエー」を開設した。

第1回のレースが行われたのは1936年、
そこには藤本、太田のほかホンダの創業者・本田宗一郎、
105歳にして今尚健在、フェアレディの父・片山豊等、
のちの日本の自動車産業の牽引者たちが集まったのである。
               (1936年多摩川スピードウエー)
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晩年、藤本は1964年の東京五輪PRのため
弟といすゞ・ベレットで北米横断ドライブ、
又1969年大阪万博の時には74歳にして万博PRのため
北・南米大陸を走破したのだった。
               (兄・右側と共に北米を走破したベレットと軍次)
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一生を車に己の夢を懸けた藤本軍次、
彼のスタートととも云える土地がここ洲崎だったのである。
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by shige_keura | 2014-11-15 09:08 | | Comments(0)
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