パエリア(パエ-ジャ)はスペインの東部、
バレンシア地方発祥の郷土料理で、 今やスペインを代表する料理として日本でも人気が高い。 お米とともに肉、野采、魚介等を鍋で炊きこんだ料理、 パエリアとはバレンシア語で鍋(フライパン)を意味している。 日本でパエリアと言うとエビ、イカ、貝を豊富に使った 高級感のあるものがレストランで供される。 しかし、もともとパエリアは庶民、農民の料理であり、 バレンシアオレンジで名高い果樹園で働く農民の昼食のものだった。 更には、高価な魚介は使わず、 バレンシアのパエリアの定番食材は 兎の肉か鶏肉である。 バレンシアの隣にあるのが 独立問題で話題を賑わせているカタルーニャ州である。 この州の首都・バルセロナは仕事の関係で 何十回となく出張したところで想い出深い街である。 (バルセロナのシンボル、「サグラダ・ファミリア教会」) 中でも最初に食べたパエリアの味は今でも忘れられない。 但し、食べた場所は高級レストランではなく 出張先の工場食堂で食べたものだ。 現地会社で働く日本人同僚と共に食堂に入った時、 件の仲間は溜息をついた。 「今日も兎のパエリアかよ」。 1980年代初頭、初めてヨーロッパで暮らしたとき、 驚きのひとつは、肉屋で売られている兎の肉、 それはまさしく毛皮を剝かれた”因幡の白ウサギ”そのものだった。 残酷とは思いつつ、何回か食べてはみたが 鶏肉よりもパサついていて味が淡白を通り過ぎ、 余り魅力のある味ではなった。 「兎のパエリア???」、正直食欲がしぼんだ。 しかし、その懸念はパエリアを食べた途端消しとんだ。 「旨い! このパエリアは凄いね」。 同僚は妙な顔をして私を眺めた。 確かに幾ら美味しいものでも 毎日のように食べるのでは飽きてしまうだろうが、 私にとって人生最高のパエリアがスペインの工場食堂のものだった。 工場のパエリアが美味しかった理由は主にふたつ。 ひとつは安価な兎の肉をふんだんに使っているの でお米に味が濃厚に沁み込んでいることだ。 大体、パエリアに使う肉・魚介は味を出す為が主目的であり、 そのものを食べても余り美味しくはない。 ふたつめの理由は大きなパエリア鍋を使用していることにあると思う。 我が家に最近になり大きくは無いが パエリア専門鍋がどこからか持ちこまれた。 その鍋を使ったパエリア、 それは今までの普通のフライパンを使った パエリアの味とは別物だった。 パリッとしたお米の仕上がり具合に 専門鍋と普通のフライパンとの間に歴然とした差が認められた。 白ワインと共に堪能したパエリア、 2合の米が夫婦二人の胃袋に吸い込まれていった。満足、満足!!
by shige_keura
| 2014-11-16 18:43
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