交通手段の発達は吾々の旅を劇的に変え、
快適性と迅速性をもたらし続けてきた。 特に東海道新幹線をはじめとする新幹線ルートの発展は 旅の概念をドラマチックに変革していった。 旅もスピードの世の中と呼応し今日に至って来た。 何処に行くにも便利な世の中、 その中で数少ない陸の孤島とも言われていた北陸にも 2015年3月に、金沢まで新幹線が開通することになった。 東京から金沢が近くなったことは喜ばしいが、 その反面、今まで味わった旅の情緒が 消えて行くことに若干の淋しさを感じる。 「ほくほく線」、越後湯沢から金沢までの在来線で 第三セクターとJRとの共同で運営されていた路線である。 何回乗ったことがあるのだろうか、 「ほくほく線」、私には思い出深くもあり大好きな旅路である。 先ず、上越新幹線で長いトンネルを過ぎると雪深い越後湯沢に到着、 これはまさに川端康成の「雪国」の世界だ。 乗り換えた「ほくほく線」は雪深い上越、石打、十日町、小千谷と 上越の名峰、八海山を右手に見ながら進む。 上越駅、私には旧名、直江津の方が親しみ深い。 何故なら、ここは父の転勤地でもあり 小学生の頃より、機会あるたびに訪ねた場所、 甘エビの美味さにビックリしたのは50年以上も前の事となる。 真冬、直江津から凍える道を歩いて父の住む社宅に到着、 甘エビと共に日本海の幸がたっぷりと入った鍋を 両親と共に味わい、至福の一時を過ごしたことが昨日の様に思いだされる。 上越(直江津)から金沢まで、 こんどは右手に現れる荒々しくも侘しげな 日本海の表情を見ながら金沢へと進む。 運が良ければ左手に日本三名山の 立山連峰の姿を楽しむことが出来る。 旅の情緒がぎっしりと詰まった「ほくほく線」が新幹線の開通と共に消える。 新たなものの導入と共に古いものは消えて行く、 今回の金沢への旅が最後の「ほくほく線」を味わうことになる筈だった。 ところが、12月中旬二つの低気圧が重なるように日本に接近し 日本海側、北海道に甚大なる暴風雪をもたらせようとしていた。 迫りくる低気圧、気象予報は大荒れの天気を告げている最中、 出発の日、15日を迎えようとしていた。 備考:旅の画像は主に2013年の時のもの
by shige_keura
| 2014-12-30 10:07
| 旅
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