大分旧聞に属するお話しとなるが。
5月13日、夜9時、テレビは東京ドームの ヒーロー・インタビューを映し出している。 試合は1-0巨人が広島を下し、 投打の殊勲者大竹と大田がぎごちなくマイクに向かっている。 両者の締めの言葉が奇しくも同じ、 「これからも応援宜しくお願いします」。 最近は野球に限らずサッカー、更には相撲までも 判で押したように聞かれる言葉が 「これからも、応援宜しくお願いします」。 なんとも嘘っぽく、これほど空々しさを感ずる言葉もない。 又、ファンがその言葉を受けて盛り上がるところが 何とも嘆かわしい。 己にプロとしての自覚があれば 自分の考えを遠慮せずに堂々と述べれば良い。 それが本当のプロフェッショナルというものだ。 今や数少なくなった真のプロフェッショナルであり、 ファンに媚びることなく堂々と自分の意見を述べるのが メジャーで今尚第一線で活躍しているイチロー選手だと思う。 彼がインタビューで応える言葉は実に含蓄がある。 2009年、彼が首位打者をツインズのマウア-選手と つばぜり合いをしていた時のことだ。 記者の質問、「今日のマウア-の打撃成績は気になりますか?」に対し 即イチローが答えた言葉がこれだ。 「全く気にしない。何故ならそれは自分のコントロール外のことだからね。 制御不能なことに神経を使うより 自分がやるべきこと、出来ることに集中した方が良い」 2013年、日米通算4,000本安打達成の時の言葉。 「4,000本のヒットを打つには8,000回以上の打席で口惜しい想いをしている。 このことに常に自分なりに向き合ってこられたことが誇れるところだと思う」 聞き様によっては、「何を気障なことを・・・」となるのだが、 ここにイチローのイチローらしさがあると思う。 そして、本年イチロー選手がヤンキースを離れ マイアミ・マリーンズに入団した時の記者会見の言葉だ。 彼は日本語でこう言った。 「新しい場所に行って新しいユニフォームを着てプレーすることに決まりましたが、 これからも応援宜しくお願いしますとは僕は絶対に言いません。 応援して頂ける選手であり続ける為に 自分がやらねばならないことを続けると言うことを約束させていただき、 それをメッセージとしたいと思います」 よくぞ言った、イチロー!なのだが、 これが次のように翻訳されて外人記者に伝えられた。 Please keep rooting for me wherever I’m playing,he said”. I will continue to work hard to be a player that you would want to root for. これを和訳するとこうなるのではないか。 「どこのチームでプレーしても私を応援し続けてください。 皆さんが応援したいと思える選手であり続けるように努めたいと思います」 イチローらしさは失われ、彼の言いたいことは残念ながら伝わらなかった。 恐らく英訳したのは日本人、 きっと頭の中に日本選手が良く言うセリフ 「これからも応援宜しくお願いします」が こびりついていたのではないだろうか。 5月15日、テレビには 決勝ホームランを放った坂本選手が映し出されてういる。 勿論、坂本の締めの言葉は「応援宜しくお願いします」、 「坂本、巨人の4番ならば、もっと気の利いたことを言わんかい!!」
by shige_keura
| 2015-05-17 17:06
| スポーツ
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