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限りなき胡散臭さ
1988年6月中旬、新たな勤務地であるスイスのチューリッヒに到着。

長旅による疲労は紺碧の空、満々と水をたたえる湖、
遥かに仰ぐ神々しいアルプスの景観で吹き飛んだ。
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目の前にあるのは絵葉書そのものの美しい自然、
澄んだ大気は澱んだ肺の中をスキッと洗い流してくれた。

時差ぼけ解消のために我が家の周囲を散策、
先ず目に留まったのが当時世界ナンバーワンの座に君臨するホテル、
「ドルダ―・グランド」の威容だった。
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欧州随一の富める国スイスの象徴が目に焼きついた。

ホテルのほど近くの小路を入ると突き当たりに
煉瓦色をした地味な2階建てのビルが目に入った。

表示には「FIFA Headquarter」。

「なんだ! ここがワールドカップを取り仕切るFIFAの本丸か!!
 それにしても随分と地味で目立たないじゃないか」。

それから30年ほどの時間が流れた現在、
そのオフィスはチューリッヒ湖ばかりか
街を睥睨するかのようなゴージャスな建物に生まれ変わっている。
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モンスターのような怪物に成長した本丸、
そこに、今話題となっているFIFAの腐敗、
金権体質が垣間見られると思うのは私だけだろうか。
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副会長等の幹部の逮捕、
騒ぎの真っ最中に会長選挙が強行されたのは常識外、
その結果、ブラッタ―会長が5期目の続投となったのは驚き以外のなにものでもない。

ブラッタ―への支持がアフリカ、アジアの国々によるものは確かであり、
日本もいち早くブラッタ―再選を支持した。

投票は国の実力に係らず1票としてカウントされるので
国数が多いアフリカ、アジアは投票結果に大きな影響を及ぼす。

そもそも、ブラッタ―が会長に就任した1988年の選挙は
彼がアフリカにワールドカップ開催権をチラつかせ
票数を獲得したものと言われている。

事実2010年、アフリカではじめてのワールドカップが南アフリカで行われた。

アフリカでワールドカップを開催すること自体に
異議を唱えるつもりはないが
会長選挙に絡めた話となると筋が違ってくる。





FIFAがどれだけ金満体質になったかを示す数字が或る。

元来ワールドカップ出場チームに対する賞金は
FIFAではなく各国が支払っていた。

すなわち、各国のサッカー協会が個々にスポンサーを募り
成績に応じて自国のチームに支払っていた。

FIFAが賞金支払い一括管理するようになってからの直近3大会の賞金額を見てみよう。

                優勝国獲得賞金           賞金総額
2006年ドイツ       22億円(3.3スイスフラン)      298億円
2010年南ア       26億円(4.2スイスフラン)      369億円
2014年ブラジル     35億円(5.7スイスフラン)      586億円   

毎回膨れ上がる賞金額、これをFIFAはどのように捻出しているのか?
その大きな懐の核となっているのがテレビの放映権である。

例えばブラジル大会の放映権の総額は2,000億円、
そのうち日本は400億円支出していると言う。

何故、日本がここまで大きな額を負担しているのか
背景にあるのがブラッタ―への忠節であり、
その最大理由がアジアの出場国の枠の維持である。

今回の会長選挙、
反対をはっきりと表明したのが欧州である。
大賛成がアフリカ、アジア、
基本反対が北中米、中立が南米と言う図式である。

この理由はワールドカップ出場国枠と出場国、
そして現在のワールドランクの各国の実力を
秤にかけると鮮明に浮かび上がってくる。     

ブラジル大会大陸別出場枠と実際に出場した国は下記の通り
       
        出場国枠(実際に出場した国)
南米     4.5プラス開催国・ブラジル(ブラジル、チリ、エクアドル、アルゼンチン、
           コロンビア、ウルグアイ)
欧州     13 (クロアチア、スペイン、オランダ、ギリシャ、イングランド、イタリア、
            スイス、フランス、ボスニアへルツェゴビナ、ドイツ、ポルトガル、
            ベルギー、ロシア)
アジア    4.5 (日本、韓国、オーストラリア、イラン)
北中米    3.5 (アメリカ、メキシコ、ホンデュラス、コスタリカ)
オセアニア  0.5
アフリカ    5 (カメルーン、コートデュボア-ル、ナイジェリア、ガーナ、アルジェリア)

ブラジル大会の出場国総数は32、
本来ならば実力があるチームが揃う方が白熱した試合を
期待出来るのは自明の理である。

では次に、直近のワールドランキング35位以内で
ブラジル大会に出られなかった国を
挙げると次の通りとなる。

欧州   8カ国   ルーマニア、チェコ、スロバキア、オーストリア、ウエ-ルズ、スコットランド、
             ウクライナ、ポーランド、
アフリカ 1カ国   チュニジア

その他の大陸はゼロである。

つまり、欧州各国にとってワ―ルドカップ出場は
他の大陸に比べ著しく狭い門となっている。

例えば12位のルーマニア、18位のチェコ、
19位のスロバキア等の強豪国が涙をのんだ。

次なるリストは35位以下でブラジル大会出場国であり
括弧内にワールドランキングを記している。


欧州    ゼロ
南米    ゼロ
北中米  ホンデュラス(76)
アフリカ  ナイジェリア(45) カメルーン(48)
アジア   イラン(40)、日本(50)、韓国(57)、オーストラリア(64)

欧州、南米の出場国のすべてが
世界的にその強さが認められている国々である。

その一方、アジアの出場国は、
すべてワールドランキング40位以下であり、
アフリカも出場国5国のうち2国が40位以下となっている。

ワールドカップに出られるか、出られないかは
その国のスポーツばかりか経済に対して大きな影響を及ぼしている。

だからこそ、アジア、アフリカはブラッターに留まっていて欲しいのだ。

日本の例を見ればブラッタ―に対し
2009年旭日大勲章まで授けて顔色を窺っている。

日本以外のアジア、アフリカ諸国のFIFA幹部に対する饗応も
容易に想像出来るというものである。

FIFAも空気が澄んで美しいスイスに居を構えているのなら
その自然に習って清らかな透明感を出してくれないものだろうか。
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話が本論から外れるが
日本のサッカーの実力向上を思えば
今のアジアの出場枠の甘さが果たして良いものなのであろうか? 

強豪国が欧州に偏っているにせよ、、
各大陸から公平に出場国を選びたい気持ちも分からぬではない。

分からぬではないが、大陸別に見ると
アジアのレベルが他に比べると地盤沈下しており
大会を盛り上げる存在となっていないことも事実である。

難しい問題提起を最後に、
この話題を締めるとしたい。
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by shige_keura | 2015-06-01 18:09 | スポーツ | Comments(0)
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