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牡蠣はフライ! フライには・・・
地球温暖化が進む中で、時ならぬ寒波が襲い、
特に雪に不慣れな西日本に甚大な被害をもたらせた。

太平洋岸はとみると、
寒く乾燥すればインフルエンザが猛威を振るい、
暖かくなれば花粉が飛び交う。

誰かのセリフではないが「とかくこの世は住みにくい」、
寒くも暑くも極端な気候が顕著となってきた。

さて、冬の食材様々あるが
代表格のひとつが牡蠣であろう。

冬の食卓を彩る牡蠣の食べ方は色々あるが、
私的には最も好きなのがフライであり、
全く魅力を感じないのが牡蠣鍋である。
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寒い冬の夕食には鍋を囲む風景が相応しいのとは思うものの、
鍋の欠点は主役本来の味を劣化させてしまうことだ。

例えば「ふぐちり」、これは最後のふぐ雑炊を楽しむために
鍋の中のふぐを感動もせずに淡々と食べている気がする。

「鶏の水炊き」にせよ「すき焼き」にせよ、
肉の旨味は鍋の中に落ち、
そのお蔭で野菜・豆腐等は美味しく味わえるが
鶏肉、牛肉の本来の味は楽しめない。

「牡蠣鍋」は更に始末が悪い。

なぜなら、牡蠣そのものの味も落ちる上に
鍋の同居人(野菜・豆腐等)の味は格別美味しくはならない。

従って、我が家では相当年数、
牡蠣鍋にはお目にかかっていない。

牡蠣は何と言ってもフライが一番であると信じて疑わぬ。

それでは「牡蠣フライ」に合う飲み物を考えるとき、
決まって、50年ほど前のある光景を思い出す。






そのとき、私は北に向かう夜行列車に一人で乗っていた。
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場所は食堂車、ビールを飲んだことは覚えているが
自分で何を食べたのか?さっぱり覚えていない。
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覚えているのは、少し時間が経過した後で、
斜め前に座った上品なお年寄りの一挙一投足だった。

年配の紳士が先ず注文したのが「牡蠣フライ」だった。

私は思った「そうか、この線は三陸海岸と上野を繋いでいるのだから
新鮮な牡蠣をたくさん積んでるに違いない。
僕も同じにすればよかったな」。

少し後悔しあとで、彼の注文に虚を突かれた。

「冷酒を一緒に持ってきてください」。

それまで牡蠣、トンカツ等、フライのお供に
日本酒の概念は全くなかったので
彼の注文は新鮮な驚きだった。

ふくっらと揚げ上がった牡蠣、
サクッと衣の剥がれる音が聞こえるようだ。

ときおり、冷酒を口に運び、満足げな面持ちながら
端然とした姿勢は崩さない。

この素敵な食べっぷりに感化され
以来、機会があれば牡蠣フライには冷酒で楽しんでいる。

ただ、口惜しいのは、己が食べっぷり。

相変わらずガツガツ食べる吾であり、
あのときのご老人の足元にも及ばない。

さて、揚げ物に日本酒、
てんぷらの場合を考えれば当然なのだが、
フライの場合は少し異なるように思える。

自分の好みは天ぷらは燗酒、牡蠣フライは冷酒が合う。

しからば、トンカツは何が良いのかと言うと、
これは「ハイボール」が最も好ましい。

このように、酒飲みとは、食材とお供の組み合わせには、
とかく薀蓄を垂れるものなのだ。
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今日の牡蠣フライに合わせた冷酒は、
金沢の名店「福光屋」の初しぼり純米吟醸酒、
ラベルには私の干支でもある猿が枝にぶら下がっている。
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今年も枝から落ちぬように健康で楽しく
そして「のほほんと」過ごせたらと願う。
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by shige_keura | 2016-01-27 23:24 |
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